東急不動産株式会社は、次世代型商業事業に取り組む実証実験店舗を、渋谷区内に2ヶ所開設すると発表した。実証実験店舗では、店舗内にセンシング機器を導入し、消費者行動の可視化に挑む。実施にあたっては、複数のリテールテックベンチャーが協力するという。

まず、2019年12月5日に月替わりのコンセプトストア「111-ICHIICHIICHI-(イチイチイチ)」を東急プラザ渋谷内に開設する。さらに、2020年2月(予定)には、カフェ併設型ポップアップショップ「000Cafe by tlc(ゼロゼロゼロ カフェ バイ ティーエルシー)」を渋谷区の東急不動産施設内で開設する予定だという。


取り組みの背景

近年、Eコマースの拡大やSNSによる情報発信ツールの多様化により、流行の移り変わりが速くなり、人々の趣味嗜好も次々に移り変わる傾向にある。そんな中、商業施設における複数年単位で変わらない既存の店舗ラインナップでは、お客様の様々なご要望に応えきれない状況になっている。

一方、店舗を持たずに自社製品を自社のオンラインサイトのみで販売をするD2C(Direct to Consumer)ブランドに代表されるようなデジタルネイティブブランドが国内でも数多く誕生し、Webマーケティングコストの高騰を背景に、リアル店舗への出店に対する新たな需要も高まっている。

東急不動産では、本取り組みを通し、これらのリアル店舗に対するニーズや消費者のニーズに迅速に対応し、ネット時代だからこそリアル店舗ができる提供価値が何かを考え、次世代型の商業施設の形を模索していく。


実証実験店舗の中身

<「111-ICHIICHIICHI-」について>

「111-ICHIICHIICHI-」プロジェクトでは、Eコマースにおいて主流である消費者の消費行動把握を、リアル店舗においても実現するため、東急プラザ渋谷の施設全体にセンシング機器を導入し、同社初となる施設全体での消費行動把握に取り組む。

実施にあたっては、リテールテックの先進的企業である「株式会社 COUNTER WORKS」「技研トラステム株式会社」「株式会社 ABEJA」「株式会社 WALK INSIGHT」「RetailNext.Inc」が参画し、それぞれの強みを活かす。

具体的には、施設共用部の主要入口と「111-ICHIICHIICHI-」の店舗入口にパッサーカウンター14台と属性推定カメラを6台、館内全体にWiFiセンサーを62台、「111-ICHIICHIICHI-」の店舗内に人流分析カメラを11台を設置する。これにより、今まで把握できなかった来館者データ(来館者数・年齢・性別、各フロア来客数・属性、店舗前交通量、館内回遊、滞留、再訪率) を取得・分析することが可能となる。

取得したデータは、今後のテナント入替やリニューアル時の動線計画といった施設運営における活用だけでなく、テナントにレポートとしてフィードバックすることで店舗の販促・マーケティングに活用してもらう。また、株式会社 COUNTERWORKSが運営するポップアップストアのマーケットプレイス 「 SHOPCOUNTER 」 と連携し、取得データをもとにお客様にとって最適なテナントの誘致活動を実施するという。なお、データは個人を特定できないよう匿名化・統計処理をした上で利用する。

さらに、消費者ニーズを起点として店舗のテナントや商品を選定するデータドリブン型のマーチャンダイジングを 実現するため、ヤフー株式会社との協業により、ヤフーが提供する検索サービスなどの統計化されたビッグデータ を活用する予定だという。ビッグデータをもとに、対象となる時期やターゲットに応じた消費者のトレンド分析を行う。例えば「腕時計ブランドAが好きな人たちはスポーツブランドBも好きそうだ」といった併売分析を行うなど、ビッグデータを活用して「111-ICHIICHIICHI-」の今後のテナント選定や売場づくりを行っていくという。  

  

<「000Cafe by tlc」について>

「000Cafe by tlc」プロジェクトでは、全ての商品を専用のスマート フォンアプリでスキャンすることができ、E コマース同様の環境を通じて購入することができる。これにより、店舗以外の場所でも購入したり、複数の ブランドの商品を横断的に比較することが可能となる。また、出店テナントに 対しては、お客様がスマートフォンアプリを通じて購入したり、E コマースサイ トへ遷移した場合には、一定の売上歩合賃料を取得するなど、不動産賃貸の新たなアフィリエイト型収益課金モデルの検証を行うという。


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(eiicon編集部)