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【イベントレポート/ニッポンイノベーター塾・第2期 FINAL DEMO DAY】 通勤時間を有意義な時間に変える「BUSTUDY」が採択される!

イノベーションの創出を支援してきた株式会社ワークハピネスが、「日本の力を結集し社会課題を解決するスタートアップを生み出す」ことを目的に立ち上げた『ニッポンイノベーター塾』。このプログラムでは、高い志を持って社会起業家を目指す個人と、多くのリソースを持つ大企業の次世代リーダーが本気の異業種連合チームを組み、6ヶ月間にわたって社会課題の解決を目指す事業アイデアの構想と検証を繰り返します。その後、FINAL DEMO DAYで優秀な成果を挙げたチームは、ワークハピネス社から最大500万円の出資金を得て起業します。

2016年12月からスタートした第1期の「ニッポンイノベーター塾」には、パナソニック、ホンダ、クラブツーリズムという大手企業3社が参加し、FINAL DEMO DAYで採択を受けたCoilet、ゆあけあ、想い出Bankというスタートアップ3社が同時誕生しました。(※スタートアップの詳細は記事下参照)

そして、2017年7月にスタートした「ニッポンイノベーター塾 第2期」には、帝人、YKKグループ、ランクアップという3社が参加。2017年12月にFINAL DEMO DAYが開催されました。異業種連合の3チームが熱いプレゼンテーションを行い、「BUSTUDY」チームが審査員のジャッジを通過。500万円の出資金を得て、起業への準備に入っています。今回は、FINAL DEMO DAYの模様をレポートします。


3チームが、社会課題解決のための事業創出に挑む

「ニッポンイノベーター塾 第2期」FINAL DEMO DAYは、2017年12月に東京・浜松町のワークハピネス本社にて開催されました。冒頭では、ニッポンイノベーター塾を主催する鬼海氏からの挨拶と共に、下記4名の審査員および、プレゼンテーションを行う3チームが紹介されました。

<FINAL DEMO DAY審査員>

●株式会社ワークハピネス 代表取締役 吉村慎吾氏

●株式会社ワークハピネス 取締役 青砥一浩氏

●インキュベイトファンド 代表パートナー 赤浦徹氏

●サイボウズ株式会社 取締役 畑慎也氏

<FINAL DEMO DAY参加3チーム>

●「Reachers」チーム

●「BUSTUDY」チーム

●「あそVIVA」チーム


子育てに関わる課題を解決する「Reachers」

プレゼンテーションのトップバッターを務めるのは、「Reachers」チームです。“子育てに関わる課題を解決し、親子を笑顔にする”というミッションを掲げた同チームでは、子育てに関わる数多の課題のなかでも、習い事にフォーカスしました。さらに、習い事は、時間、地域、経済という3つの観点で、大きな格差が起きていることに着目。そこで、全国の親子にインタビューやアンケートを実施し、分析を実施しました。

その結果、格差を埋めるための解決策として創出したのはスマートフォンやタブレット端末を通して習い事を3分間の動画で学べる「Reachers」という月額料金制のサービスです。手芸や心書といった習い事のコンテンツを用意して検証した結果、ユーザーからも好評。「Reachers」というフレームワークを世界に広めていきたいと話し、プレゼンテーションは終了しました。


通勤時間を有意義な時間に変える「BUSTUDY」

学習意欲があるものの、なかなか時間が取れないという社会人に向けた課題解決サービスを提案したのが「BUSTUDY」チーム。調査によれば、人生で通勤に費やす時間は、なんと19,200時間もあるといいます。しかしながら、都市部においては満員電車による通勤が主となり、その時間を有効活用できていないという点に注目。「通勤時間を有意義な時間に変える」ことをミッションに掲げ、リサーチを開始していきました。すると、団体向けの貸し切りバスの稼働率(特に平日)の低さに気付きます。

そこで、満員電車で学習困難な社会人向けに、貸し切りバス内で学習し、出勤できるサービスを「BUSTUDY」を考案。実際に15名の社会人を対象に、バス内で英語を学べるプロトタイピングを実施したところ、87%が効果的と答え、93%が再度利用したいというフィードバックを得たといいます。現状では、大宮~東京間や八王子~新宿間など、およそ1時間の乗車時間のルートを考えているとのことです。


特別支援学級児と家族のコミュニティ作りを目指す「あそVIVA」

教育上特別な支援を必要とする児童および生徒のために置かれた特別支援学級。これまで、特別支援学級児が友達を作って日常的にコミュニケーションを取ったりする機会を設けることが難しく、その家族・保護者たちもコミュニティ作りに悩んでいるという課題がありました。

こうした課題を解決するために創出したのが「あそVIVA」。これは、特別支援学級児と家族のコミュニティ作りを目指すサービスです。リアルな遊び場の提供やコミュニケーションを通じた一生の友達作りをミッションに掲げており、「あそVIVA」のポータルサイトを通じてイベント開催などを告知。イベント主催者や、特別支援学級児の家族・保護者のコミュニケーションを生み出して、コミュニティを形成していきます。サイトモックアップを作り、検証したところ、ユーザーの86%が「利用したい」と答えており、大きな期待が持てるサービスだと話しました。


以上のように、3チームによるプレゼンテーションが終了。その後は、FINAL DEMO DAY出席者が各チームに対して意見や感想を直接述べるフィードバックタイムに移り、多種多様な意見が活発に飛び交いました。


採択されたのは、「BUSTUDY」!

FINAL DEMO DAYの最後は、プレゼンテーションの結果発表が行われました。マイクを持つ審査委員長・吉村氏(ワークハピネス 代表取締役/上記写真)から、『審査の結果、1チームが採択されました!「BUSTUDY」チームです!』と述べられると、会場は一段と熱気と帯びました。採択された「BUSTUDY」チームには、起業のための資金として500万円が贈呈。今後、ワークハピネス社のバックアップを受けながら、起業準備を進めていきます。

 また、吉村氏からは『審査員の満場一致で「BUSTUDY」に決まりました』とコメントがあり、続いてサイボウズ・畑氏は、『英語が勉強できて、しかも快適に通勤できる。サラリーマンにとって財布がゆるむサービス。僕自身が使いたいと思った』と感想が述べられました。さらに、インキュベイトファンド・赤浦氏(下記写真)からは『通勤電車が満員でストレスを感じている人は多い、バス通勤というだけでニーズはある。プレゼンテーション中のチームの雰囲気も良かった』と賛辞が贈られました。

一方、「Reachers」・「あそVIVA」に対しては、事業やサービスに対する強い使命感は感じられたものの、マネタイズの詰めの甘さやチームの一体感の弱さといった指摘があり、残念ながら採択には至りませんでした。


取材を終えて

プレゼンテーションを行った各チームメンバーの多くは、30代~40代の大企業の社員。6か月にわたって、文化も商習慣も違う仲間たちと週に何度もコミュニケーションを取りながら、アイデアを形にしていったといいます。参加者からは「違う会社の方々との出会いが刺激的だった」、「自分を見つめ直すいい経験ができた」、「大企業にはないスタートアップならではのスピード感を知ることができた」といった感想が述べられました。参加者にとってこのプログラムでは、大企業では味わうことのできない貴重な経験が積める場になったようです。現在は、「ニッポンイノベーター塾 第3期」を募集中。また次々とスタートアップが誕生する同プログラムに今後も注目していきたいと思います。


※「ニッポンイノベーター塾 第1期」から誕生したスタートアップ3社

●株式会社Coilet……日本で最も多い難病である炎症性腸疾患(IBD)の患者の方々に代表される「トイレに困る人」と「トイレを貸してくれる人」をつなぐシェアリングサービスを実現します。

●株式会社ゆあけあ……働きながら介護する家族のためのコミュニティサービス。スマホアプリを活用し、介護経験者の知恵を共有したり、仲間の困りごとを知恵で解決するなど 仕事と介護を両立しながら奮闘している社員の方の味方となるサービスを目指します。

●想い出Bank株式会社……少子高齢化に伴う3世代家族の絆の希薄化を解決するため、子どもや孫が日常的に作った絵などの作品(想い出)の保管と電子化を行ない、離れて暮らす祖父母宅に送ったり、展示物を集めて三世代旅行を企画するなど、想い出を共有しながらコミュニケーションのキッカケを生み出すサービスを目指します。

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:佐々木智雅)