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「スポーツ×他産業」による共創のTIPSとは?――3期目を迎える『地域版SOIP』のアルムナイ座談会をレポート

「スポーツ×他産業」による共創のTIPSとは?――3期目を迎える『地域版SOIP』のアルムナイ座談会をレポート

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スポーツ庁が推進する『SOIP(Sports Open Innovation Platform)』は、スポーツと他産業とのオープンイノベーションで、新たな事業の創造、価値創出、社会課題解決などを目指すプラットフォームだ。『全国版SOIP』と『地域版SOIP』があり、すでに日本各地で多くの実証や事業化の事例が生まれている。

『SOIP』の形成に向けて、2021年度より開催されているのが、「地域×スポーツ産業」の共創でビジネス創出を目指す年間プログラム「SPORTS OPEN INNOVATION BUSINESS BUILD」である。各地域のスポーツチーム・団体が解決したい課題を提示し、全国から共創パートナーを募集。2日間のオフラインイベント「BUSINESS BUILD(ビジネスビルド)」で、共創ビジネスの骨子を作り、数カ月間のインキュベーション期間で社会実装を図る。各地域に”地域パートナー”が立ち、運営のサポート役を担うことも本プログラムの特徴だ。

第1期となる2021年度は4エリア(北海道/関西/中国/沖縄)、第2期となる2022年度は3エリア(北海道/甲信越・北陸/東海)で開催。そして第3期を迎える2023年度は、3エリア(東北/関東/九州)で開催中だ。全国のスポーツチーム、地域パートナーの交流機会も設けられており、参加年度の垣根を越えた交流も活発化しているという。

TOMORUBAでは、今年度のビジネスビルドを目前に控えた10月11日、昨年度と今年度の地域パートナー、およびホストスポーツチームが参加したオンライン座談会を取材。『地域版SOIP』のプログラム経験者(=アルムナイ)らが昨年度の経験談を語った内容を本記事では紹介する。

【地域パートナーによる座談会】 地域版SOIPをきっかけに、各エリアでの活動にドライブをかける

座談会の前半は、2022年度と2023年度の地域パートナーが集まり、昨年度の経験談を聞く形で実施された。スピーカーは2022年度の地域パートナーを担った以下の3名で、ファシリテーションはNICOLLAP・高畠氏が担当。今年度のプログラムに参加する3エリア(東北/関東/九州)の地域パートナーが耳を傾けた。

<スピーカー>

■高畠靖明 氏(長野ITコラボレーションプラットフォーム(NICOLLAP)コミュニケーションマネージャー) ※ファシリテーター

■高松世大 氏(SPOPLA北海道/株式会社北海道二十一世紀総合研究所 調査研究部 研究員)

■倉内佳郎 氏(中日新聞社 広告局ビジネス開発部)

ここからは座談会で語られた内容を紹介していく。まず口火を切ったのは、ファシリテーターの高畠氏だ。高畠氏は約1年間かけて実施される『地域版SOIP』のプログラムには、3つの山があると話す。

その3つとは、(1)共創パートナー募集ページの公開(2)ビジネスビルド(3)デモデイだ。とくに、ビジネスビルドは結果を大きく左右する重要なイベントだと述べ、最初の設問「ビジネスビルド『当日』または『当日まで』のホストチーム支援についての経験談」というトピックスをスピーカーに投げかけた。

NICOLLAP・高畠氏: まず、ビジネスビルドの当日または当日までの期間、地域パートナーがどのような支援を提供してきたのかについてお聞きしたいです。2年連続で地域パートナーを務められた高松さんに、トップバッターをお願いします。

SPOPLA北海道・高松氏: ご紹介の通り2年連続で『地域版SOIP』のプログラムに参加しましたが、初年度に他地域でビジネスビルド当日に決裁権を持つ方が常に同席できず、ビジネスビルド内で挙がった具体的な議論の確認作業も含め、チーム内の調整で苦労したと聞いています。そこで2年目からは、ジャッジできる方を招くよう心がけました。振り返ってみて、決裁権を持つ方がビジネスビルドにコミットしているチーム・地域は、ビジネスビルド後の議論がスムーズに進んでいる印象を受けます。

NICOLLAP・高畠氏: 『ジャッジできる方』というのは、役員クラスという解釈ですか。

SPOPLA北海道・高松氏: 役員や部長の方も含めてですが、少なくともビジネスビルド当日に、担当者の方が決裁者から確認を得るために走り回らなければならない状況は避けるべきだと思います。

NICOLLAP・高畠氏: 昨年度4つのホストチームを担当された東海エリアの倉内さんは、ホストチームを支援していくにあたり意識されたことはありますか。

中日新聞社・倉内氏: ビジネスビルドに限らず『地域パートナーの役割は何か』という全体的な話になりますが、私たち地域パートナーはホストチームにとってのパートナーであるべきだと思っています。

ですから、ホストチーム側のコンディション、ホームゲームの日程などを把握したうえで、適切なタイミングで連絡をするよう意識してきました。また東海エリアでは、ホストチーム毎にオープンイノベーションの経験度合が異なっていたため、そうした点も考慮して関わり方を調整してきました。

NICOLLAP・高畠氏: ホストチーム側に寄り添って丁寧なケアを心がけられたということですね。私たち甲信越・北陸エリアに関しては、実は昨年度のビジネスビルドで大きな失敗をしてしまいました。というのも、ホストチームのひとつがビジネスビルド初日に参加ができなくなり、応募企業が何も進められない状況になってしまったのです。

このことから、ホストチームに対しての日々の関係づくりとあわせて、当日必ずお越しいただけるよう心の準備をしていただけるような対話が必要だったと反省をしています。続いて、ビジネスビルド『当日』の立ち回り方で、何か意識されたことはありますか。

▲2022年10月に開催された甲信越・北陸エリアのビジネスビルドの模様。ホストチームとして参加したのは、「松本山雅FC(サッカー)」「信州ブレイブウォリアーズ(バスケットボール)」「公益財団法人長野県スキー連盟(スキー・スノーボード)」。

SPOPLA北海道・高松氏: ビジネスビルド当日、私たちが各ホストチームの議論に参加する場面もありましたが、メンターの方もいらっしゃるので、メンターの方を中心に進めていくことが多かったです。私たちが積極的に発言をして掻き回すというよりは見守っていく形で、必要があれば出ていくという役割に徹していました。

中日新聞社・倉内氏: 東海エリアは、名古屋商工会議所さんと中部ニュービジネス協議会さん、私たち中日新聞社の3団体で一緒に地域パートナーを務めました。それぞれ相性のよいホストチームのテーブルに同席したので、とくに緊張した様子もなく話し合いができました。

それ以外では、場づくりを意識しましたね。会場に各チームのグッズを持ち込んだり、チームのユニフォームを着ていったり、過去のピッチで採択され実装された商品を持っていったり。無味乾燥なテーブルで長く議論をしていると息が詰まりますから、場を賑やかにするよう心がけました。

NICOLLAP・高畠氏: 改めて私たち地域パートナーが最優先にするのは、地元のホストチームだと感じました。私たちはホストチームの皆さんが困っていないかよく見て、コミュニケーションの橋渡しをしたり、ビジネスビルドに気持ちよく参加できるよう配慮していけばよいのではないかと思います。それと私自身、昨年度は全エリアのビジネスビルドに参加しました。そうすることで、今後につながるよい関係づくりができるのではないかと思います。

続いて2つ目の設問「『インキュベーション期間中』の地域パートナーの役割経験談」に移りますが、実証期間中、どのような意識で取り組まれたのかをお聞きしたいです。

SPOPLA北海道・高松氏: 概して言えるのは、余程うまく進んだ場合は別として、多くのホストチームにとって、ビジネスビルドでは面白いと思って採択し、インキュベーションで手応えがあっても、次年度以降に自社のビジネスとして継続するには少し足りない部分があるのだろうと思います。そうしたなかで、私たち地域パートナーが何をすべきかというお話ですが、私たち北海道エリアではデモデイを目指すというより、その先の自走化までを視野に入れてコミュニケーションを取るようにしました。

デモデイまでに完成させようとすると、そこで燃え尽きてしまったり、デモデイのための事業になってしまったりすることも考えられます。ですから、デモデイを目指すのではなく、むしろその後の自走化を大前提として、『地域版SOIP』のプログラムに取り組むほうがよいのではないでしょうか。

▲2022年11月に開催された北海道エリアのビジネスビルドの模様。ホストチームとして参加したのは、「北海道コンサドーレ札幌(サッカー)」「エスポラーダ北海道(フットサル)」「ヴォレアス北海道(バレーボール)」。なお、2021年度のビジネスビルドには、「レバンガ北海道(バスケットボール)」と「レッドイーグルス北海道(アイスホッケー)」がホストチームとして参加した。

NICOLLAP・高畠氏: 自走化に関連して、デモデイ終了後も継続するプロジェクトの特徴についてお伺いしたいです。

SPOPLA北海道・高松氏: 2021年度に2チーム、2022年度に3チームの合計5チームをご支援してきましたが、現在も継続しているのは、そのうち約半数です。継続する要因は、イエスというジャッジがプログラム期間中に揃ったこと。

逆に継続しないものには2パターンあります。ひとつが実証を経て、継続は難しいという判断になるケース。もうひとつは、継続したいものの資金などの確保ができずに頓挫するケースです。後者の場合は、必要に応じて公的資金を活用し、さらに実証を加速させることもあります。

NICOLLAP・高畠氏: 倉内さんはいかがですか。

中日新聞社・倉内氏: 東海エリアは、ビジネスビルドからデモデイまでの期間が非常に短かったため、当初よりデモデイにターゲットをあてたくはないと考えてきました。ただ、私たち中日新聞社主催のウィメンズマラソンだと3月開催なので、逆に開催日を過ぎると何もできなくなるという制約がありましたし、B1リーグのドルフィンズさんでは、シーズンのスケジュールを考慮すると、やはり2月のブレイク期間中に、ある程度イベントの形をつくることが理想でした。J1リーグのグランパスさんとVリーグのウルフドッグスさんに関しては、先を見据えた取り組みだったので、デモデイをそこまで意識してはいません。

ウルフドッグスさんのオンラインプラットフォーム『ウルドわいわいPARK』は正式にローンチしましたが、私自身、今日に至るまで毎週オンラインミーティングに参加してきました。それぞれのチームとコミュニケーションを取り続けることは、『地域版SOIP』のプログラムが終了した今でも継続しています。

最終的に私たちの場合は、3年後に愛知県で開催されるアジア大会、その後の地域の発展も視野に入れたなかで、2022年度の『地域版SOIP』のプログラムだと位置づけていました。そういう意味では、愛知県なども巻き込みながら、少しずつ考えていた形に近づいてきているというのが現状です。

▲2022年12月に開催された東海エリアのビジネスビルドの模様。ホストチームとして参加したのは、「名古屋グランパス(サッカー)」「名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(バスケットボール)」「ウルフドッグス名古屋、豊田合成記念体育館エントリオ(バレーボール)」「名古屋ウィメンズマラソン(マラソン)」。

NICOLLAP・高畠氏: デモデイは1つの節目ではあるけれどゴールではないということだと、お話を聞いていて感じました。私たちも同様の捉え方で、デモデイにはしっかりと向き合いながらも、その先にどうつなげていくかを見据えながら活動をしてきました。

長野県も今後、スポーツ行政の新しい体制を構築することを発表しています。私たちNICOLLAPも、民間団体としてSPOPLA北海道さんのような組織を作りたいと考えています。ぜひ今年度の地域パートナーさんも、デモデイを取っ掛かりとして、それぞれの活動をドライブしていくとよいのではないでしょうか。

冒頭に3つの山があるというお話をしましたが、3つの山のなかでビジネスビルドが一番大きかったと改めて思います。1日半という短い期間で、いかにホストチームと応募企業の信頼関係を築き、熱量をともにできるかが、この『地域版SOIP』のプログラムのポイントだと言えます。ビジネスビルド当日には、運営を担うeiiconさんのメンバーも多く参加されるので、頼れる部分は頼って、地域パートナーの皆さんは、この先も長く共にするであろうホストチームの皆さまへの気配りや目配りを行っていくことが重要なのではないかと思います。

【ホストスポーツチームによる座談会】 発注ではなく共創により、想いをカタチに

後半はスピーカーが入れ替わり、昨年度のホストチームから次の2名が登場。今年度『地域版SOIP』のプログラムに参加するホストチームが視聴するなか、昨年度の参加2チームが経験談を共有した。ファシリテーションは今年度プログラムの統括PMを担当するeiicon・粕谷氏が担当。「ビジネスビルド前後の考え方の変化や、共創事業を進めるうえでの心構え」という設問から座談会はスタートした。

<スピーカー>

■水上玄太 氏(エスポラーダ北海道 選手兼ゼネラルマネージャー)

■横井俊広 氏(TG SPORTS株式会社 代表取締役社長/ウルフドッグス名古屋 )

※ファシリテーターは、粕谷琢実 氏(株式会社eiicon 公共セクター事業本部 自治体支援事業部 Account Executive/Consultant)が務めた。

eiicon・粕谷氏: まず、ビジネスビルド前後の考え方の変化や、共創事業を進めるうえでの心構えについてお伺いしたいです。

エスポラーダ北海道・水上氏: 『地域版SOIP』の話をいただいたとき、自分から出向かなくても新しいパートナーと新しい取り組みができるので、とてもありがたい機会を得たと感じました。実際に『地域版SOIP』のプログラムが開始してからは、タイトなスケジュールのなか、通常業務に加えて新しい打合せも発生します。私自身は選手も兼務しているのでトレーニングも行う必要があり、1人で担当するのは大変でした。今回は私だけで担当しましたが、今となってみれば複数名で取り組んだほうがよかったと感じています。

eiicon・粕谷氏: ビジネスビルド当日はいかがでしたか。

エスポラーダ北海道・水上氏: ビジネスビルド当日は、応募企業の皆さんから様々な提案をいただきました。当初は、クラブの実現したいことと、応募企業からの提案とが合致しないこともありましたが、2日目にはガラッと異なる提案に変わり、自分たちのクラブに歩み寄っていただけることもありました。私たちホストチーム側からも意見を出しながら形を作っていくのですが、改めてスポーツチーム側も複数名で参加したほうが、頭の整理にもなりますし、よりよいものを作り出せるのではないかと思いましたね。

eiicon・粕谷氏: 水上さんがおっしゃる通りで、ビジネスビルトでは1日目のディスカッションを経て、一度作ったビジネスモデルをゼロに戻し、2日目に再構築するということが起こります。ですから、複数名で参加したほうが、より多くの角度から新しいビジネスの展開を考えることができるのではないかというお話でした。横井社長はいかがでしょうか。

ウルフドッグス名古屋・横井氏: 『地域版SOIP』の話をいただいたときは、正直なところ半信半疑でした。プレゼンを聞いて、ベンダーさんや仕入れ先様を選ぶようなイベントなのではないかという気持ちもゼロではなかったのです。ただ、実際にビジネスビルドに行ってみると、自分自身も追い詰められるんです。メンターさんから「ターゲット/カスタマーは誰なのか」や「それなら、こっちの事業プランだろう」という風に色々と言われます。

そうした状況のなかで、採択企業を選ばなければならないというプレッシャーもある。非常に苦しい状況のなかで、最終的に私の心を突き動かしたのは、やはりプレゼンいただいた応募企業・ダイスコネクティングの代表であるあべきさんの熱意でした。先ほどもお話にありましたが、一晩で提案内容をガラッと変えて、私たちの考えを受け止めていただき、ものすごい熱量で2日目に来られました。それで「一緒の事業を作るならこの人だ」と確信を持ったのです。

ビジネスビルドの成果ともいえる『ウルドわいわいPARKオンライン』が正式にローンチしたのですが、会社で決裁権を持つ私が最初から最後まで関わっていなければ、今日の日は迎えていなかったのではないかと思います。もし私が第三者的にこの提案を聞いていたら、「ほかにやるべきことがたくさんあるだろう」という判断になったかもしれません。ですから今年度のホストチームの皆さんも、決裁権を持つ上長の方を巻き込むことが重要だと思います。

▲2022年度のビジネスビルドにおいて、ウルフドッグス名古屋は「ウルドくんGamePark ~いつでも、どこでもウルドくんゲームで選手と遊ぼう!~」を提案したダイスコネクティングを採択した。

eiicon・粕谷氏: 今のお話を聞いていて、共創パートナーとは受発注以上の関係を構築しておられると感じました。また、決裁者が双方におられたことと、新規事業を創出するにあたり、熱量をそれぞれにお持ちになって臨まれた点が、成果につながった大きな要因なのではないかと思います。

2つ目の設問は「インキュベーション期間中に共創パートナーと事業を進めるうえで、苦労した点と改善した点」です。ビジネスビルドで、共創パートナーを選ばれた後、インキュベーション期間へと進まれましたが、その期間中に苦労された点や改善された点があればお伺いしたいです。

エスポラーダ北海道・水上氏: 私たちは北海道に拠点を置いており、共創パートナーさんは福岡に拠点を置く企業さん(ユーロフィンQKEN)でした。距離の関係もあって、オフラインで顔を合わせることが難しかった。そのため、毎週のオンラインミーティングを通じてコミュニケーションを重ねていったのですが、北海道で実証を行う段階に入ると、やはり円滑に進みづらい部分もありました。

具体的には今回、家庭科室のキッチンを使用して食育イベントを開催しましたが、キッチンの水の出方やガス、コンセントの配置など、パートナーさんは私たちと気になる部分が異なりました。一緒に視察に行けたら解決できる問題だったと思っています。また、先ほどの話と重複しますが、双方ともにもう少し人数を増やして対応すればよかったという反省点もあります。やはり複数人で対応したほうが、社内全体を巻き込む熱量もより高められたのではないかと思います。

▲2022年度のビジネスビルドにおいて、エスポラーダ北海道は「日本初!?エビデンスに基づいた食育!スポーツ×サイエンス×データ=食育」を提案したユーロフィンQKENを採択した。

eiicon・粕谷氏: 横井社長はいかがでしょうか。苦労した点や改善した点はありましたか。

ウルフドッグス名古屋・横井氏: 私たちの共創事業に関しては、正式にローンチしましたが、それが最後だというわけではなく、これでようやく開発のはじめの一歩が終わったという状況です。そうしたスケール感なので、共創パートナーであるダイスコネクティングさんとは開発のフェーズを分けて、「ここまでに何をやろう」としっかり握りながら進めています。今回の共創事業は開発を伴いますし、私たちとしても投入できる資金や工数に限りがあります。ですから、お互いに状況を共有しあいながら、マイルストーンを切って進めています。

また、ダイスコネクティングの皆さんには、私たちのアリーナ(豊田合成記念体育館エントリオ)に何度も足を運んでいただきました。ベトナムにも開発チームをお持ちなのですが、ベトナムの開発者も試合を見に来てくださり、周辺の地域特性もつかんでくださいました。

私たちメーカー(※)では、三現主義という言葉を使いますが、やはり“現地・現物・現実”を重視して、開発していただけたことは非常によかったと思います。このような形で進めてきたので、苦労した点はそれほどありませんでしたね。

※ウルフドッグス名古屋を運営するTG SPORTS株式会社は、豊田合成株式会社のグループ会社。

eiicon・粕谷氏: 開発が伴う事業だと工数もお金も必要になるので、お互いに意見を包み隠さず伝えあって、できることとできないことを明確にし、そのうえで進め方を議論しておられるとのことですね。オープンイノベーションに取り組む際、負の感情を持ったままで進めると、結局どこかでスタックしてしまいます。そういう意味では、非常に重要なことだと感じました。

ウルフドッグス名古屋・横井氏: 相手の顔を見ながら取り組むことで熱量を感じましたし、その熱量に私たちのチームメンバーも感化され、こちらからもアイデアを出すなど楽しく議論をしながら進められています。ベンダーさんに発注するのとはまったく違う方法だと思いますね。まだ、私たちが実現したい到達点の10分の1程の地点ではありますが、少しずつオフシーズンにまでつなげられるような取り組みができつつあると思っています。

取材後記

『地域版SOIP』のコミュニティが、年度やエリアの垣根を越えて活発化し、全国へと輪が広がっていることが実感できる座談会だった。また、前年度の共創のTIPSが引き継がれることで、今年度の円滑なプロジェクト推進が可能となる点でも、大きな意味を持つ場であったと感じる。3期目となる今年度の『SPORTS OPEN INNOVATION BUSINESS BUILD』は、今まさに大きな山場を迎えた段階。ここから画期的な新規ビジネスが生まれることに期待したい。

(編集:眞田幸剛、取材・文:林和歌子)

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