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meet ▶[NearMe]:「シェア乗り」文化の普及で日本の交通課題に挑む――ニアミーが解消する、移動の「もったいない」とは

meet ▶[NearMe]:「シェア乗り」文化の普及で日本の交通課題に挑む――ニアミーが解消する、移動の「もったいない」とは

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コロナ禍の影響で大きなダメージを受けたタクシー業界。普段の生活でも「なかなかタクシーがつかまらない」と感じる方も多いだろう。それもそのはず、コロナ禍以前に比べるとタクシー運転手は20%も減ったと言われている。タクシーが減ったことで移動が滞れば、ビジネスや観光など様々なシーンに悪影響を与えてしまう。

そのような交通における課題をテクノロジーで解決しているのが、株式会社NearMe(以下、ニアミー)だ。AIを活用した「シェア乗り」サービスを提供することで、効率的でおトクな移動を実現している。今後は特に地方での移動改革を進めるという。

eiiconのオリジナルピッチ企画「eiicon meet up!!」登壇企業に話を聞くインタビュー企画『meet startups!!』。――今回は、株式会社NearMe 代表取締役 髙原幸一郎氏に起業の背景から同社サービスの強みや将来のビジョンについて語っていただいた。

▲株式会社NearMe 代表取締役 髙原幸一郎氏

「需給バランスの崩壊」と「空気を運ぶ車両」。タクシー業界が抱える課題とは

――まずは現代のタクシー業界が抱える問題を教えてください。

髙原氏 : ひとつは需給バランスが崩れてしまっていること。コロナ禍の影響でドライバー不足が取り沙汰されるようになってきましたが、実はその前から問題は存在していました。15年前と比較するとドライバーの数が40%も減っているのです。一方で、コロナ禍が終息してから外国人観光客も増えており、タクシーの需要が激増しています。タクシーに乗りたい人は増えているのに、ドライバーは減る一方で、ますますタクシーがつかまらなくなっているのです。

さらに問題を深刻化しているのが「もったいない」タクシーの乗り方です。本来であれば、タクシーは4人が乗れますが、実際は1人で乗っている方も多いですよね。つまりタクシーは半分以上空気を運んでいることになります。これでは無駄が多い上に、環境にも大きな負荷をかけることになります。

――ニアミーは、そのような問題をどのように解決しているのでしょうか。

髙原氏 :私たちが提供しているのは車両の「シェア乗り」サービスです。たとえば目的地が同じ乗客同士に相乗りしてもらうことで、効率的な移動を実現しています。利用者にとっても、一人で乗るよりも料金が最大50%OFFになるため、お得に移動できるのです。

利用者はアプリで事前に目的地を入力するだけ。AIがマッチングして前日には乗車時間と車両が確定します。あとは当日、指定された時間に乗れば、相乗りしながら移動できる仕組みになっています。

「公共の交通機関すらない」―都市部よりも深刻な地方の交通事情

――現在は地方の課題解決にも取り組んでいますが、都市と地方では交通における課題が異なるのでしょうか。

髙原氏 : 課題の背景は都市部も地方も変わりませんが、地方はより課題が深刻です。たとえば都市部でタクシーがつかまらないのは、終電後など需要が高まった時に限られます。しかし、地方ではほとんどタクシーが走っていないこともあり、一日を通してタクシーがつかまりません。

加えて、地域によっては赤字路線のバスや電車が廃線になってしまい、交通の「空白地帯」が生まれてしまっていることも大きな問題です。最寄りの駅から観光地までのアクセスがなかったり、免許を返納した高齢者の方が病院や買い物にも行けないなどの問題も発生しているのです。

――そのような問題を、どのように解決していくのか教えてください。

髙原氏 : 自治体などと組みながら、オンデマンド交通の仕組みを組み上げていきます。たとえば秋田県の美郷町は、魅力的な観光コンテンツを持ちながらも、交通の利便性の低さから、その可能性を存分に活かしきれていませんでした。

毎年、県内外から7万人が訪れる「ラベンダーまつり」も、交通が複雑かつ高額になるため、行くことを諦めてしまう観光客も多くいると言います。そこで、観光シェアタクシーの仕組みを構築し、ラベンダー園だけでなく、主要な観光地を繋ぐルートをリーズナブルな価格で訪れるようにしたのです。まだ、実証実験の段階ではありますが、このような事例をこれから日本全国に広げていきたいと思っています。

▲NearMeは美郷町とともに、近隣主要交通ターミナル(JR大曲駅)から町内の観光地・観光施設への新たな二次交通の確保による利便性向上を目指した実証事業を、「美郷町ラベンダーまつり」の開催に合わせて実施した。(※2023年5月配信プレスリリースより)

――そのような取り組みを広げていくにあたって、どのようなパートナーを求めているのでしょうか。

髙原氏 : 「地域の交通課題を解決したい」という想いをしっかり持っている方です。これまでも様々な自治体や企業からお問い合わせをいただきましたが、スムーズに進むプロジェクトは、担当者の方の熱量が高いという共通点がありました。

私たちの取り組みというのは、前例もありませんし、地域の課題に合わせてカスタマイズもしなければなりません。そのため、私たちだけの力だけではプロジェクトを進められず、自治体や現地の企業と共に推進していく必要があります。

実証実験を繰り返し、その過程ではうまくいかないこともありますが、それでもプロジェクトを進めていくには、担当者の方も熱量が欠かせません。パートナーシップを組みながら、同じ視座で課題の解決に取り組める自治体や企業の方たちと組んでいきたいですね。

▲2023年8月に開催されたピッチイベント「eiicon meet up!!vol.8」に登壇した髙原氏。

乗り物はシェアするのが当たり前。二アミーが描く次世代の価値観

――プロジェクトを行う際に、どのような状況を成功と定義しているのでしょうか。

髙原氏 : 地域によって課題の質も違うため、一概に成功の定義を決めることはできませんが「シェアする文化」を定着させることが、どの地域にも共通して大事だと思っています。ドライバー不足の問題というのは、単純にドライバーを増やして解決するものではありません。そもそもすぐにはドライバーを増やせませんし、ドライバーが増えれば環境への負荷も増大し、渋滞問題にも繋がります。持続的に快適な移動体験を実現するには、乗り物を「シェアする文化」の定着が必要だと思うのです。

これまで「一人一台」もしくは「一家で一台」だった車文化から「シェアするのが当たり前」という文化にシフトできれば、プロジェクトの成功だと言えると思います。

――「シェアする文化」を広げるには、今後どのような変化が必要なのでしょうか?

髙原氏 : 目的別に乗り物を分けないことです。たとえば、今の交通課題のソリューションは「観光客向け」「地域の人向け」など、目的別に分かれていますよね。しかし、それではそれぞれの目的のために車両を用意しなければならず、無駄が発生してしまいます。

その無駄をなくすには「観光客を送った車で、地域の人を病院に送る」など、同じ車両で様々な目的に対応できるようにしなければなりません。「観光客向け」「地域の人向け」とサービスの入り口は複数作りながらも、裏側では共通のシステムを使って、効率的にマッチングする。

そのような仕組みを作りながら、観光客や地域社会にとっても交通インフラにとっても喜ばれるような持続可能なサービスにしていきたいと思っています。

(取材・文:鈴木光平)

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