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【ICTスタートアップリーグ特集 #2:プランティオ】IoTプロダクトとコミュニティ農園で、誰もが気軽に「農」に触れられる社会を。

【ICTスタートアップリーグ特集 #2:プランティオ】IoTプロダクトとコミュニティ農園で、誰もが気軽に「農」に触れられる社会を。

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「共創の場」を提供するプログラムだ。

このプログラムでは総務省事業による研究開発費の⽀援や伴走支援に加え、メディアとも連携を行い、スタートアップを応援する人を増やすことで、事業の成長加速と地域活性にもつなげるエコシステムとしても展開していく。

そこでTOMORUBAでは、ICTスタートアップリーグの採択スタートアップにフォーカスした特集記事を掲載している。今回は、農との接点を作るため都市部で農園を運営するプランティオ株式会社を取り上げる。同社が語るこれからの食と農との関係や、なぜ同社の事業が農のあり方を変えるのか、代表取締役の芹澤氏に話を聞いた。

▲プランティオ株式会社 代表取締役 芹澤 孝悦 氏

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<スタートアップ解説員の「ココに注目!」>

■写真右/新宮領 宏太(株式会社eiicon PlatformSalesG 地域創生プロジェクトマネージャー)

・おじいさまが1949年に日本で初めて「プランター」を発明された背景をもとに、世界中で唯一無二のデジタルファーミングプラットフォーム『grow』を展開中!デバイスの『grow CONNECT』は、4時間の充電で約3ヶ月は持つとのことでしたが、こんな高機能の仕組みを作り切ったのが本当にすごいと実感しました。

・そんな同社がこれまで地道に培ってきた野菜を育てるための学習データをもとに、都会の人でも、初心者の人でも、ビルの屋上等でみんなで楽しくゲーム感覚で野菜を育てていくことができる世界。皆さんもワクワクしませんか?

・間もなくtoC向けのローンチも控えている状況で、一気に「アーバンファーミング」が認知されて、まずは都心部の方々の生活に当たり前になっていく気配がプンプンしました!世界中から注目されている同社に今後も目が離せませんし、私もローンチされ次第、個人的に利用していきたいと思います。

初心者でも気軽に農を始められるIoTセンサー『grow CONNECT』

ーーまずは事業内容を聞かせてください。

芹澤氏 : 私たちはさまざまな形で、農に触れる機会を作る取り組みを展開しています。その一つがIoTアグリセンサー『grow CONNECT(グロウ コネクト)』です。多くの人が野菜を育てる時に「いつお手入れし、いつ収穫をすればいいのかわからない」「ネットで調べても、自分が育てている地域の気候と違って参考にならない」などの壁にぶつかります。

grow CONNECTには、土壌の温度や湿度、気温や日照時間などを測定するセンサーが搭載されており、そのデータから適切な収穫のタイミングなどを教えてくれるのです。植物にはそれぞれ「気温の積算が◯℃になると開花する」といった法則があり、そのアルゴリズムから推測して育成状況に合わせたアクションをガイドしてくれます。

野菜を育てる上での不安を減らすことで、より多くの人に気軽に農に触れてもらうのが私たちの使命です。

ーーセンサーの開発以外には、どのような取り組みをしているのでしょうか。

芹澤氏 : ビルの屋上などの遊休地で、ひとつの畑を地域の共有財産としてシェアするコミュニティ菜園『grow FIELD』を運営しています。既存のレンタル菜園と違うのは、郊外ではなく都市部にあること、そして区画貸しではなくコミュニティで野菜を育てることです。

通常、野菜を育てるとなれば水をあげるなどの工程は全て一人でしなければなりません。しかし、grow FIELDでは「今日は僕が水をあげるよ」とアプリで投稿すれば、コミュニティに通知が届くため、みんなで野菜を育てられるのです。一人で野菜を育てるのは難しいと感じる方も、グループなら楽しく農に触れられます。

また、育てた野菜を飲食店に持ち込んで食べられるのも大きな特徴です。現在、全国で14箇所の農園を運営しており、企業だけでなく行政からの問い合わせも増えています。

▲東京・大手町ビル屋上など、都市圏から郊外エリアまでコミュニティ菜園『grow FIELD』は着実に広がっている。(画像出典:grow FIELD一覧

世界に先駆けて、個人向けアグリテックの市場を開拓

ーーアグリテック市場での優位性を聞かせてください。

芹澤氏 : 現在、アグリテック市場は急速に成長していますが、それらは全て「農業」向けのサービスです。私たちのように、個人の「農」にフォーカスしたサービスは世界を見渡してもありません。

一方で、海外では都市部で一般の人が野菜を育てる「アーバンファーミング」が広がっています。ニューヨークやロンドンといった主要な都市の中心に農園が増えており、市民たちが自分たちで野菜を育てているのです。

その取り組みはどんどんと広がっており、私たちのもとにも海外から「農園を作ってくれないか」と問い合わせがくるほどです。

ーー個人向けのアグリテックデバイスは世界初とのことですが、どのように市場を開拓していくのでしょうか。

芹澤氏 : 「食」から農に興味を持ってもらえるよう取り組んでいます。食料自給率や環境問題の観点からもアーバンファーミングは非常に重要ですが、大義名分を掲げても農に興味は持ってもらえません。

それよりも「おいしいものを食べたい」という欲求から、農に興味を持ってほしいと思っています。自分たちが育てた野菜を飲食店に持ち込んで調理してもらうのも、その一環です。

ーーどのように飲食店を巻き込んでいるのか聞かせてください。

芹澤氏 : 実は近年、シェフの間で”Farm to table”という考えが広がっています。地元で育てられたオーガニックな野菜を提供するという考えで、エシカルかどうかが重視されているのです。

”Farm to table”に取り組みたいという飲食店は増えているものの、都市部で地元のオーガニック野菜を安定的に仕入れるのは容易ではありません。そこで、私たちの農園で育てた野菜を使いたいという飲食店が増えているのです。

ーーお互いのニーズがマッチしているのですね。

芹澤氏 : そうですね。私たちの取り組みにも、飲食店の存在が欠かせません。たとえば、食事をしたお店で「実はこの野菜、すぐそこの農園で作られたものなんですよ」「実は珍しい野菜なんです」という話を聞いたら、自分でも野菜を作ってみたいと思いますよね。

飲食店の方からも、私たちのアプリを通して農園でどんな野菜が育てられているのか見られるようにしています。そのような取り組みを通して、飲食店と農の接点も作っていきたいと思っています。

▲芹澤氏が手にしているのが、IoTセンサー 『grow CONNECT』。センサーが計測した日照量・土壌水分量・土壌温度など栽培に重要なデータを元にした栽培アドバイス。今後の栽培にも役立つ、栽培時の画像データやセンサー値をアーカイブする。入会中はいつでも参照可能。

楽しみながら農を続けられる仕組み作りを

ーー今後はサービスをどのように展開していくのか聞かせてください。

芹澤氏 : より農を楽しんでもらう仕組みを作っていきたいと思います。たとえば同じ野菜を何度も育て、より美味しく育てられる人には「にんじんの達人」などの称号を贈ったり、野菜図鑑を作ってコンプリートを目指してもらったり。

単に野菜を育てるだけでは、多くの人は続きません。農を始めることで、人生を楽しめるようなものにしていきたいですね。そして、それは大人だけでなく、子供も一緒です。既に何度か食農教育をしており、野菜嫌いの子も自分たちで作った野菜は美味しそうに食べるんですよね。

野菜を作り、食べることを通して人生を豊かにできるようなサービスを目指していきたいと思います。

ーー最後にこれからのビジョンをお願いします。

芹澤氏 : 農にお金を出すのではなく、自分たちで野菜を育てて食べるのが当たり前だった江戸時代のような生活を実現したいと思っています。農に取り組むことで節約にもなり、健康にもなり、コミュニティができて地域も活性化する。

農を中心としたライフスタイルは、私たちに多くのメリットを与えてくれます。そのように楽しみながら農を続けることで、振り返ったら「環境にもいいことをしていたね」と言えるような社会を作っていきたいと思います。

取材後記

ストレス社会と言われる今、街づくりにおいてリラックス効果のある「緑」を取り入れるのは常識になってきたが、その進化系こそが「農」ではないだろうか。土に触れ、人と協力しながら野菜を作り、健康的な食事をする。

仕事に疲れ、さまざまなストレスに晒されている現代人にとって、これ以上とないリラックス体験となるだろう。現在はまだ限られた都市のみにしかない『grow FIELD』も、いずれは誰もが気軽に通える程度に普及することを期待したい。

※ICTスタートアップリーグの特集ページはコチラをご覧ください。

(編集:眞田幸剛、取材・文:鈴木光平)

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「競争の場」を提供するプログラムです。TOMORUBAではICTスタートアップリーグに参加しているスタートアップ各社の事業や取り組みを特集していきます。