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【連載/4コマ漫画コラム(38)】 新規事業の未来を切り拓くための情報収集法

【連載/4コマ漫画コラム(38)】 新規事業の未来を切り拓くための情報収集法

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未来は予測できない

「未来」は……分からないものなのです。

「しっかり情報収集すれば未来は予測できる」とどこかで思い込んでいる人が結構います。断言しますが、それは間違いです。あのSRI(Stanford Research Institute)が1970年代までに、最高レベルの人達があらゆる手法を駆使して「未来を予測すること」にチャレンジしましたが、結論は……「未来は予測できない」。別にSRIがそう言ったからという訳でなく、この世に生きている皆さんは、少なくとも直観的に「未来は予測できないものだ」ということは納得できるでしょう。

では、諦めるしかないのか……そんなことはありません。少しでも成功確率を上げていくために、不確実ながら情報を得て、自分で考えて、「未来を切り拓いていく」ことはできます(と信じています)。

この「切り拓く」という言葉は「自分が」ですよね。「勝手に切り拓く」とは使いません。自動的には起こらず、個人レベルの意志がとても大事な要素になります。

ところが、たまに、新規事業の提案に対して「お前の意見なんか聞いていない、事実だけを語れ」という無意味な恫喝をするお偉いさんがいたります(私の経験での実話)。こういう人が言う「事実」とは「未来を確実に自動的に予測するための事実」を指していて、先ほどの「未来は予測できない」という原則に反しています。どうしてそんなことを言うのかというと、既存事業の近未来は大体予測可能で、いつまでもその状況が続くと「勘違い」しているからです。本来、既存事業でも、少しだけ遠い未来でさえ予測不可能です。

ま、勘違いで粛々と既存事業をこなして、自分がエライと勘違いしてお偉いさんになってしまったということです。はい。

未来につながる萌芽を感じられるように

それでは、どういう風に情報収集をすればいいのか。

簡単に言うと「広くあれこれの情報に接して、未来の萌芽を感じられるようになっていく」ことです。そして、その感じた「萌芽」を自分の体内で消化し昇華させて、未来の新規事業のアイデアにつなげていく。また、その「あれこれの情報」に接している過程において、知り合った人たちの力を合わせて新規事業を興し、推進していくのです。

「あれこれの情報」って何か?日々接している既存事業や自社の事業領域以外の「あれこれ」のことです。

具体的には

・(仕事と関係ない)本・映画・ネット情報

・(仕事と関係ない)人と会って話す

・(仕事と関係ない)リアルな現場に行く(ネットで見ているだけでなく)

・(五感を刺激する)アートなどを見に行く。やる。

共通することは、どれも「すぐに役立つようには見えない」ということです。そして、「Input(情報入手)」がそのまま「Output(成果)」にはつながらず、色々なものと(体内で)混じりあってつながって、「ポロっ」と「アイデア」や「活用できる人的ネットワーク」が生み出されるのです。

Excel的情報収集では

お気づきのように、「新規事業を企画するため」と言われる様々なExcel的情報収集(私の命名)とは違います。PEST, SWOT, 3C, 4C, 7S,PPM… これらは、まず「枠」があって、その中を「埋めていく」のが情報収集となっています。つまり、まず(無意識も含めて)「枠」があり、その外側には想いを致すことができない。縛られてしまうのです。だから、「新しい」アイデアがこのExcel的情報収集から出てくることはありません。

あくまで産まれたアイデアを正当化するための見世物作成のためのツールとして考えた方がいい。もちろん、枠に埋めてみると「抜け」が分かるので、「既存事業」などのしっかりと推進をしなければならない事業の穴を探すことはできます(かな……それも怪しいと思うけれど)。

笑い話のようですが、「XX企画部」とか「XX戦略部」とかにはExcel的情報収集の枠を埋めて、「情報収集ができた」と思っている人がかなりいます。(企ても戦略も作っていない……)

オープンイノベーションも大事な手段

(一見仕事と関係ない)人と会って話す。これが、まずオープンイノベーションのスタートでもあります。Excel的に「抜け」を見つけて、そこを「埋めてくれる」人や会社に会っているだけではダメです。「こういうやりたいことがあるので、そのための「抜け」を埋めてくれる人を見つけよう」ではなくて、「この人と会ってしゃべっていたら、気が付いたら一緒に仕事をしていた」というのが未来を切り拓くための「人との会い方・話し方」です。

一方的に情報収集だけをやろうとしていても、深く人とはつながりません。自らがオープンになって、成果に直結しなくても「萌芽を感じて」相手と一緒になってコトを興す。そうすると、未来は切り拓くとことができます。

未来を切り拓く情報収集法

・(仕事と関係ない)本・映画・ネット情報

 本では「生物」「宗教」「歴史」「対談」。映画では「変な設定の映画」「SF」。ネット情報では「facebookでの友人のシェア」(いい友人が多いです。ありがとうございます。)

・(仕事と関係ない)人と会って話す

 とにかく誘われると顔を出す。独立してからはメンタリングでそこそこの評判を得ているので、仕事にならないレベルも含めてありとあらゆる「相談事」を受けて、その方がチャレンジしている世界を知る。(メンタリングが仕事なので「仕事と関係ない」がない)

・(仕事と関係ない)リアルな現場に行く(ネットで見ているだけでなく)

 会社員時代にやった「インドの農村部」でのプロジェクトが、やっぱり最高の「現場感覚」だったなあ。最近足りていない気がする。

・(五感を刺激する)アートなどを見に行く。やる。

 美術館にも時々行きますが、家の近所が自然が豊かなので、虫の接写によく出かけます。自然はアートだ!自然はすごい!自然はサイエンスだ!といつも興奮。

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「どこが『情報収集法』だ!」とお怒りの方もいらっしゃるかもしれませんが、何の役に立つのか分からない情報が未来を切り拓くのです(最後までお読みいただいてスイマセン……)


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

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