情報発信にかかっている

オープンイノベーションの基本は社外とつながること。いいパートナーと出会えるかどうがか肝です。その前段として、様々なパートナー候補と出会えるかどうかは「まずは知ってもらう」ための「情報発信」にかかっています。

あるタイプの「アクセラレータープログラム」や「ビジネスコンテスト」の主催者になるのも「情報発信」の手段と言えます。

自社が目指す方向性に合った様々な会社が寄ってくる場を自ら提供して、それぞれのパートナーと沢山のプロジェクトを生み出していく。そのために、「ウチの会社が考える方向性はこういうものです」という「情報発信」を起点とします。

こういう大規模な情報発信もありますが、今回はまだまだ生煮えで「どうしようかなあ、誰かいいパートナーっているのかなあ」という段階での「ちょっとした情報発信術」を中心にご紹介しましょう。


メディアに載っちゃうための第一歩

やっぱり効果的なのはメディアに掲載されることです。新聞・雑誌・専門誌・Webメディアなどに載ると、講演依頼や、また別のメディア記事のインタビューの依頼などが舞い込むようになります。そしてどんどんと「情報発信」の場が広がっていきます。

では、どうすれば「メディアに掲載」のチャンスがやってくるのでしょうか。

まず大事なのは、自分自身が自分がやろうとしている(もしくは手掛け出している)ことにほれ込むことです。

最初はどんなプロジェクトでも「なんとなくだけどいいと思う」というレベルから始まりますが、それを知人や同僚を捕まえては、「ねえねえ、ちょっと聞いてくれない?」と披露しましょう。披露してみると、自分自身で「あ、これが足りないな」「ここをもっと調べなきゃ」ということに気が付き、ストーリーを練り直したり、調査をするようになって、自ずと「シンプルで魅力あるストーリー」に昇華され、自分自身がその話にほれ込んでいきます。

そして、少人数でも仲間を社内外から集めて、実際に「コト」を小さくてもいいので起こしていきましょう。


撒き餌の場所

さらに、このアイデアを持って、「なんとなく共通する人々が集まるイベント」に参加して、自己紹介の時間や立食パーティ(結構これが肝)で磨いてきた話をしましょう。その際、まだ「講演」などという長めの時間は得られないので、いかに短く、シンプルに、魅力ある(参加者の人が興味を持つ)話ができるかがポイントです。30秒くらいでできる話「エレベーターピッチ」をあちこちでやってみましょう。(立食パーティが最初の出会いでその後長く色々と一緒にやった人たちから「最初に合った時は顔が真っ赤だったねー」とよく揶揄されます(^o^;))

そうしているうちに、その中から「もうちょっと話を聞かせてくれない?」という人が現れたり、「それ、ウチでやっているイベントで講演してくれない?」という依頼につながったります。「そんなことあるのかな」と思うかもしれませんが、あります(一杯ありました)。

そして、「講演」をやると、その参加者の中のメディアの方から「今度、インタビューさせていただけませんか」という話が舞い込みます(結構いろんなイベントにいろんなメディアの方が参加しているものです)。


依頼が舞い込むのは

当たり前ですが、メディアに掲載されたり、講演を頼まれたりするためには、話題そのものに魅力がなければいけません。

そのために大事なことは「世の中のちょっと先を行っていること」だと思います。

もう手垢が付きまくった「流行り」の話題ではなく、「確かにその兆候があるな、まだあまり事例がないけれど」と感じてもらう視点を盛り込むのです。

例えば(だいぶ前の話になるので、今では「手垢がついたもの」になってしまったかもしれませんが)私の場合であれば「シリコンバレーでのCVC(Corporate Venture Capital)活動」や「BOP(Base of the Pyramid(世界の貧困層)) business」などがそれに当たります。

もちろん、ある技術を使って、今までは行われていなかったような領域でのサービスを展開する、というようなこともこの類になります。

ただ、目的と手段を混同しないことです。「メディアに掲載される」のはあくまで手段の一つなので「メディアに掲載されるためにプロジェクトや話題を考える」のは本末転倒です。あくまで「自分がほれ込める」「やりたい」がベースにあるべきです。


拡散のためにも

一旦、メディアに掲載されたり、講演を行ったりすると、次から次に依頼が舞い込むようになります。(そうでないのであれば、そのプロジェクト自体に魅力が足りないということでしょう)

メディアに掲載されると、それ(URLなど)を、初めての方とのエレベーターピッチの時にお渡しできるようにもなります。そのプロジェクトに関する情報のリンク先をまとめた「名刺のようなもの」を作りましょう。単にメディアに掲載された情報だけではなく、プロジェクトの紹介などをまとめた専用ホームページも作りましょう(今は無料でもできるし、会社であれば会社のHPの一部を借用して)。

これは、単に目の前の人に後で読んでもらえるだけでなく、その人が他の人に紹介してくれる際にとても役に立ちます。


外圧?は背中を押してくれる

実際に経験している方だと分かると思いますが、「社外への情報発信」は、実は「社内でのプロジェクトの推進」にとても役に立ちます。

社内では冷たくされていても(私の場合もこればっか(^o^;))、メディアに掲載されたり、講演を聞いた社外の人から「おたくの会社ではほんとに素晴らしいことを手掛けているね」とか言われると、社内でのサポーターが増えていきます。特に、経営陣(社長とか)が、他社の経営陣から「見たよ、すごいね」とか言われると効果は絶大です。


押さえどころ

最後に上の4コマ漫画を使って、情報発信の押さえどころをお伝えします。

①     単に、「これが欲しい」というだけだとダメです。パートナー候補にとっても魅力を感じてもらうことが大事です。大きな社会課題(1社だけではできないこと)を一緒に解決できる可能性に言及するのも手です。

②     講演もインタビューも、「個人に魅力があるから」頼まれるものです。「会社の方針なのでやっています」という空気を垂れ流すのではなく(結構、そうなっちゃっている人がいます。だらだらと会社紹介に時間を使うプレゼンなどはその典型です)、「会社を使って、『私』はこれをやろうとしています」というトーンで話しましょう。

③    「言っているだけ症候群」があちこちではびこっています。本当にひどい。現場から遠い経営陣が陥りがちの病気です。会社そのものでは「言っているだけ」になっていても、まあ仕方ないかもしれませんが、それにつながる実際に「やっている(小さくてもいい)」ことを紹介するようにしましょう。「言っているだけ」の大きく抽象的な話と、「やっている小さな活動」をどう「つなげる」かが腕の見せ所です。

④     どういう人生を歩んできたのか分かりませんが、会社に対して怨念のような感情の吐露ばかりする人がいますが、そういうネガティブな雰囲気の人には人は寄ってきません。多分、会社の中で社外での活動を理解してもらえないなどが原因でしょうが、「会社を使う」ためには、「やらなければならない社内の仕事」は当たり前のようにこなして、信頼を獲得するのは当然のことです。とにかく楽し気に話ましょう。どうしても会社ではできないと思うのであれば、会社とは別のところでやることを前提として人間個人として前を向いて活き活きと話をしてもらいたいものです。

あ、一番大事なことを言い忘れましたが、情報発信で最も効果があるのはeiiconに登録したり、eiiconの記事になることです(^o^)。



■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。