先進的なIoTプロジェクトを発掘・選定し、企業連携・資金・規制の面から徹底的に支援するとともに、大規模社会実装に向けた規制改革・制度形成等の環境整備を行うことを目的として設置された「IoT推進ラボ」

経済産業省及びIoT推進ラボは、2月27日に、IoTを活用した優れたプロジェクトを選定・表彰する第6回「IoT Lab Selection」(先進的IoTプロジェクト選考会議)を開催。事前審査を通過してファイナリストとなった5社が、審査員・傍聴者の前での公開プレゼン審査に挑んだ。――そして、グランプリを獲得したのが、株式会社ヒナタデザインが提案した『サイズと購買データを活用した商品リコメンドサービス』だ。

▲プレゼンを行うヒナタデザイン 代表・大谷氏(写真左)。なお、第6回「IoTLabSelection」の準グランプリには、ノバルス株式会社の「IoT製品開発を簡単にする乾電池型IoTMaBeee」が選ばれた。(※写真は「IoT推進ラボ」イベントレポートページより抜粋)


そこで、実物大ARで商品を表示できる「scale post」(スケールポスト)などのアプリを展開するスタートアップ・ヒナタデザイン 代表・大谷氏に、グランプリ受賞のポイントについて、さらに今後の事業展開や連携していきたい企業について話を伺った。

▲株式会社ヒナタデザイン 代表取締役 大谷佳弘氏

立教大学卒業後、共産圏貿易を主体とした専門商社の管理部財務課に所属。財務、経理、外国為替の業務に携わる。その後、複数のITベンチャー企業で主に事業企画を担当。創業から参加したソフトウェア開発ベンチャー企業では東証マザーズでの上場を経験。2009年に株式会社ヒナタデザインを設立。ウェブやアプリのデザイン制作、及びブランディング事業を行う。


サイズを軸とするコンテンツの利活用を行うプラットフォームを提案

――「第6回 IoT Lab Selection(先進的IoTプロジェクト選考会議)」のグランプリ獲得、おめでとうございます。まずは、「IoT Lab Selection」に応募された理由についてお聞かせください。

ヒナタデザイン・大谷氏 : もともと当社はIoT推進ラボの会員であり、事業の進捗や周囲の技術的な環境含めて、今後の方向性に実現性がイメージできるようになってきたためです。

また、今回の「IoT Lab Selection」が、「IoT、ビッグデータ、人工知能等によって、世界的に産業や社会の在り方が大きく変革しつつある状況を踏まえ、我が国においても、新たな IoTビジネスモデルの創出や IoTプラットフォーマーの発掘・育成を図り、新たな成長の原動力をしていくことが必要」という中長期的な幅広い視点で事業を見ている点がとても面白いと思い、応募しました。

――それでは次に、「第6回 IoT Lab Selection」でプレゼンテーションされた内容にお聞きしたいと思います。以前のインタビューでもヒナタデザインさんの事業は「scale post」など「サイズにまつわる課題を解決する」というテーマを重視されていました。今回も、そうした軸の提案だったのでしょうか?

ヒナタデザイン・大谷氏 : そうですね。当社がプレゼンしたのは、『サイズと購買データを活用した商品リコメンドサービス』です。これは、サイズを軸とするコンテンツの利活用を行うプラットフォームを構築するものになります。

▲ヒナタデザインでは、家電小売大手・ビックカメラとの協業が進んでいる。

――具体的にはどのようなものでしょうか?

ヒナタデザイン・大谷氏 : 例えば、衣料品や家電などのECの商品画像を、AR上で実物大で見ることができ、商品購入前に、自分や部屋と商品の相性を確認可能になります。

このプラットフォームを軸に、購入した衣料品から⾝体情報(身長や靴のサイズ)を、家具・家電から住環境(部屋、棚のサイズ)のデータを蓄積し、⽣活者の⾝体情報や住環境に合致した商品情報を、タイミングよくリコメンドするサービスの提供を目指すという内容のプレゼンでした。

――プレゼンテーションの中で、特に工夫された点や強調した点は?

ヒナタデザイン・大谷氏 : ビジネスの新規性、実現可能性、将来性と広がり、そして世界に進出していける点をきちんと盛り込んで説明しました。また、すでに構築しているサイズプラットフォーム上で将来的に展開する「3Dルームサービス」での商品リコメンドサービスとして、その世界観を「ライフスタイル実現アプリ」とアピールしました。例えば、自分のお部屋をイメージする際に、ドラえもんやスタジオジブリのアニメのお部屋、ドラマや映画のお部屋を想定して、壁紙やカーテン、インテリアや雑貨等を配置していくことができるという話もしましたね。


技術基盤とマーケティングをうまく融合させ、ビジネスモデルを進化させる

――ヒナタデザインさんの提案に対して、審査員からのフィードバックはいかがでしたか?

ヒナタデザイン・大谷氏 : 一次審査の際に次のフィードバックをもらいました。「今後のEC事業拡大にすばらしいソリューション。UI/UXの改善とプラットフォームのAPIをどれだけ使いやすくできるかどうかが鍵だろう。ポテンシャルは大きくビジネス展開のスピードも鍵だ」。

――これは今までのプレゼンではあまり聞かれなかったご意見でした。まさに、我々の感覚と同じであったことに勇気をもらいましたね。その言葉の支えもあり、最終プレゼンでは短期的な視野ではなく、長期的かつサイズという普遍的なプラットフォーム事業であるという自信を持って臨むことができました。

――その結果、グランプリを受賞されました。大谷さんご自身の率直な感想をお聞かせください。

ヒナタデザイン・大谷氏 : 今までのグランプリ受賞者や今回のファイナリストの多くが「規制・標準化等の課題を有する案件」となっていたので、現在では直接的にそのような課題のない弊社のサービスでは受賞は難しいのではとの感覚もありました。

プレゼンはやりきった感がありましたが、正直、グランプリという感覚はあまり持っていなかったので、名前が呼ばれた時は飛び上がりたいくらい嬉しかったです。事業を粛々と進めてきた中で、事業性や将来性がようやく認められ始めたのだと、安堵と達成感もありました。

――今回のグランプリ受賞をふまえ、ヒナタデザインさんの今後の事業展開についてお聞かせください。

ヒナタデザイン・大谷氏 : 今回は「scale post」というサイズのSaaSモデルをベースに、自社でも3Dルームサービスを展開していきたいというプレゼンを行いました。弊社のSaaSの役割としては、サイズを軸としたコンテンツのビッグデータを他のDBやサービスと連携しながら、適切なタイミングで One to One のリコメンドを行うことです。

例えば、一定のスペースに入る商品を選定したり、周囲の色合いにマッチする商品、また顧客の趣味嗜好にあった商品をビッグデータにディープラーニングを合わせて提案していきます。

その際には他のサービスの商品を3Dルームサービスで販売したり、コンテンツが「scale post」をハブとしてアフィリエイトモデルで売買できることを想定していますが、技術的な基盤とマーケティング的な要素をうまく融合させてビジネスモデルを進化させていこうと考えています。

――それでは最後に、これから特に連携を強化していきたいと考えている企業や業界・業種などについて教えてください。

ヒナタデザイン・大谷氏 : 「scale post」のSaaSのフロントエンドでは、建築や不動産、内装材やインテリア、雑貨等のメーカーやショップと結びついていきたいです。また、バックエンドではショッピングモールや他サービスとの連携、またはAI、チャット、物体認識、ライトフィールド等の技術との連携を想定しています。

(構成・文:eiicon編集部)