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【特集インタビュー】リコー×オムロン×SMBCベンチャーキャピタルが新ファンド設立。テックベンチャーを支援し、描く未来とは?(後編)

【特集インタビュー】リコー×オムロン×SMBCベンチャーキャピタルが新ファンド設立。テックベンチャーを支援し、描く未来とは?(後編)

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  シード・アーリーステージにある日本のテックベンチャーの支援を目的に、事業会社の垣根を越えて設立されたオープンイノベーション型ベンチャーファンド、「テックアクセルファンド」。2016年3月に設立された同ファンドはリコー、オムロン、SMBCベンチャーキャピタルが運営母体となっており、産業革新機構と三井住友銀行からの出資を受けている。規模は50億円。今後、追加募集を行いながら、質・規模を拡大。リコー、オムロンだけではなく、多様な事業会社がジョインし、最終的には70億円規模に増資する予定だ。 

すでにCVCに着手しているリコーそしてオムロンという事業会社と、SMBCVCが手を組むこと自体が「オープンイノベーション」を体現しており、そこから生み出される化学反応に大きな注目が寄せられている。なぜ、企業単体ではなく、複数の事業会社が集い、ベンチャーファンドを生み出したのか。そして、目指しているビジョンは何なのか――。 

こうした疑問を解明すべく、同ファンドの運営を行う合同会社テックアクセルベンチャーズの執行役員であり投資パートナーである小澤・有田両氏にインタビューを敢行。後編となる今回は、ベンチャーへの具体的な支援策に加え、オープンイノベーションを成功させるために何が必要か、話を伺った。 

前編はコチラ ‣  https://lab.eiicon.net/20160927_techaccel/


【写真左】 
合同会社テックアクセルベンチャーズ 
職務執行役員 投資パートナー 博士 
小澤 尚志 Naoshi Ozawa 
メーカー、大学でセラミックスの研究に携わった後、2003年にオムロン株式会社入社。材料エンジニアとして職務に従事。その後、経営企画に異動となる。M&A、新規事業開発などを担当。2014年、オムロンベンチャーズ代表取締役に就任し現在に至る。 

【写真右】 
合同会社テックアクセルベンチャーズ 
職務執行役員 投資パートナー 
有田 寿範 Toshihiro Arita 
外資系投資銀行でM&Aに従事した後、自らベンチャーを起こす。その後、米シリコンバレーで日本の大手自動車メーカーのCVCを創設。約10年にわたり投資に携わる。2011年リコー入社。新規事業を担当し、現在に至る。


■事業会社ならではの設備・技術ノウハウを活かした支援を行う

――具体的な支援策をお教えいただけますか。

小澤:ベンチャーにはお金も設備も人材もなく、持っているのはアイデアだけ、ということが少なからずあります。一方、リコーもオムロンも、メーカーとして多くの設備、技術的ノウハウを保有しています。ベンチャーにはそれらを活用してもらいながら、試作や量産についてバックアックしたいと考えています。 

有田:これについては単なる机上の空論ではなく、具体的に社内で仕組みを作っています。アイデアを形にする用意はできているのです。 

小澤:試作から量産が終わり、販売というフェーズになった場合の支援も可能です。私たちは国内外にネットワークがあり、一定のブランド力も持っています。ベンチャー企業が営業を行う場合、販路も知名度もなく苦労することが多くありますが、ブランド力を活用することでその点はクリアしていけます。少なくとも、話を聞いてみようという段階には持っていけるはずです。 

――最終的にテックベンチャーをどのような段階にまで育てることを目指していますか。

有田:やはりM&Aされるほど魅力ある企業にしていきたいと思っています。M&Aについては、オムロンやリコーはもちろん、競合他社が行ってもいいと考えています。そうすることが、業界全体の底上げにつながるはずですので。 

小澤:ファンドにはファイナンスの企業も入っています。組織づくりについても、万全の体制でバックアップしていけます。 

――最後にオープンイノベーションについてお考えを聞かせてください。成功には何が必要となるでしょうか。

小澤:オープンイノベーションを、大手企業とベンチャーの出会いととらえた場合、両者の架け橋となる存在が必要だと思っています。大手とベンチャーでは、考え方や働き方が大きく異なります。それぞれの別の方向を向きがちですから、間を取り持ち、両者にとっていい状態に持っていくことが何より求められるでしょう。 

有田:成果を出すことが非常に難しい事業です。目に見える成果が出るまでに、先行して投資を行わなければならないのですが、稟議を通し上の許可を取っていたのでは時間がかかりすぎますし、チャンスを逃してしまうことにもなりかねません。スピーディな判断をするためにも、現場に権限を渡すことがとても重要になるはずです。

■取材を通して得られた、オープンイノベーションの2つのノウハウ

(1)自社の枠組みを外す。 

近視眼的な自社の利益誘導を考えないこと。これがオープンイノベーションで重要になる一つの要素になる。日本はもちろん、世界に変化を起こそうとするのなら、自社だけを見ていては限界がある。自社だけではできなかった取り組みを、複数の企業と共に行う。そうすることで、結果的に新たなビジネスを作り出し、長期的に見れば、自社の利益にもなるはずだ。 

(2)ベンチャーのロールモデルを作る。 

そもそも日本の社会の中で、ものづくり・技術系の分野でベンチャーを起こす人材が圧倒的に少ない。このことが、国内のオープンイノベーションを難しくしているところがあるだろう。両氏が語っていたように、大手企業からスピンアウトしM&Aされるなどのロールモデルを多く作ることで、ベンチャーを起こすことの心理的リスクも軽減される。ものづくり・技術系の分野におけるベンチャーを評価する仕組みを作り上げることが、まずは求められることなのかもしれない。

 (構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:佐藤淳一) 前編はコチラ ‣  https://lab.eiicon.net/20160927_techaccel/


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