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【密着レポート(4)】郵便局×オープンイノベーション!日本郵便の社内横断チームが地方創生に挑む理由。

【密着レポート(4)】郵便局×オープンイノベーション!日本郵便の社内横断チームが地方創生に挑む理由。

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地方創生とオープンイノベーションに挑む日本郵便の姿を追いかけて約2カ月、これまでに3回に分けてその模様をレポートした(第1回第2回第3回)。 

そして、かねてより彼らが目標にしてきた「地方創生まちづくりフォーラム まちてん」が、ついに12月9日と10日の2日間にかけて開催された。 

初日の9日(金)には、さまざまなテーマごとにプレゼンテーションを行う「カンファレンス」に事務局リーダーの福井氏が参加。福井氏は壇上で何を語ったのか、日本郵便の変化は来場者に伝わったのか。現地での様子をレポートする。

 

福井 崇博(ふくい たかひろ) 日本郵便株式会社 トータル生活サポート事業部 事業開発担当 主任 
1987年、三重県鈴鹿市生まれ。日本郵便に入社後、物販ビジネス部や株式会社ローソンへの出向などを経験。2016年からは、郵便局リソースを活用した他社との共創による新規事業開発を担当。まちてん参加2年目となる今回は、社内公募による出展プロジェクトチームの事務局リーダーを務める。  

■会場最大規模のブースで日本郵便の取り組みを発信

 

まちてん初日、会場のヒカリエホールは大勢の人でごった返していた。地方創生の注目度の高さが、肌で伝わってくるようだ。会場に入り、大手企業からベンチャー企業、自治体までさまざまな団体が出展する中、もっとも大きなブースを出展していたのが日本郵便だ。

日本郵便のブースでは、「Start Up Today!! 〜今日から始まる◯◯ × 郵便局〜」というテーマを掲げて、地方創生の事例紹介やコラボレーションの相談会を行っていた。多くの人が日本郵便のブースの前で足を止め、ブースの情報に目を配る。事務局メンバーたちが忙しく来場者の対応を行うさなか、カンファレンスで福井氏は何を語るだろうか。  

■プレゼンスタート!日本郵便が地方創生に挑む背景

 日本郵便のプレゼンテーションのテーマは、「◯◯ × 郵便局 〜動き出す!郵便局とのイノベーション〜」。壇上に登場した福井氏はカジュアルな服装で、マイクや資料を手に持たない「TED」形式で語り始める。いわゆる「お堅い」郵便局のイメージは、まったく感じられない。 

福井氏は、最初に日本の郵便制度の創始者である前島密の言葉を引用。「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」。その言葉が日本郵便の原点であり、現代の文脈で言い換えれば日本郵便が目指す「トータル生活サポート企業」ということになる。つまり、日本郵便にとって地方創生は自分事であり、もっとも注力すべきテーマなのだと福井氏は語る。  

■「女子×郵便局」ハピキラFACTORYとの協業事例

▲ハピキラFACTORYとのコラボレーションは、多くの媒体から取材を受けるほど注目を集めた。 

地方創生に乗り出す必然性を語った後は、コラボレーション事例の紹介へと続く。まずひとつめの事例が、昨年の「まちてん」での出会いがきっかけになったというハピキラFACTORYとの協業事例。 

ハピキラFACTORYは、あらゆる商材を女の子目線で可愛くプロデュースする女性2人によるベンチャー企業。地域の名産・特産品をリブランディングし、郵便局の「ふるさと小包」と掛け合わせて販売する。地域の名産・特産品に付加価値を付与し、新しいファンを獲得しようという狙いだ。また、2017年のこどもの日・母の日カタログではコラボレーション商品を発売予定であることも発表された。  

■位置情報ゲーム「駅メモ!」とのコラボを発表

 

ふたつめの事例は、ソーシャルゲームの開発を行うモバイルファクトリーとの協業。モバイルファクトリーも、昨年のまちてんで出会った企業なのだという。モバイルファクトリーの代表的なサービスである位置情報ゲーム「ステーションメモリーズ!(通称:駅メモ!)」と郵便局のコラボレーションが実施される。具体的には、デジタルスタンプラリーで地域に誘引し、対象郵便局で「駅メモ!」の限定グッズを販売する。第一弾は、2017年中の開始を予定しているそうだ。  

■以前から地方創生に取り組んできた郵便局の紹介

▲日本郵便のブースでは地方創生の事例が掲示されていた。 

これら外部との協業案件に加えて、福井氏は地域の郵便局での事例も紹介した。eiicon labの3回目のレポートでも伝えた通りだが、愛知県宇和島市では現地の郵便局長が「こもねっと」という水産加工品の会社設立に協力し、「ふるさと小包」など郵便局のリソースを活用した販路拡大などを行っている。また、青森県三戸町では、郵便局長の旗振りによって地元出身の作家による絵本のキャラクターをモチーフにした町おこしが実行された。  

■郵便局×オープンイノベーションは、必然だった。

 

前島密の言葉に始まり、地元のために奔走してきた郵便局長たちの姿を知ると、日本郵便は元来から地方創生に取り組んできた存在だったということが見えてくる。当初こそ、「郵便局とオープンイノベーション」という掛け合わせに若干の違和感を覚えたものの、今となっては何ら不思議なことはない。ハピキラFACTORYやモバイルファクトリーとの協業は革新的な取り組みに見えるものの、実は郵便局が取り組んできたことの延長線上にあったのだ。 

イベント後、プレゼンの感想を福井氏に訊いてみると、「緊張はしてしまったが、伝えたいことは全部喋ることができた。日本郵便が変わっていくんだ、というメッセージは伝えられたのでは」と手応えを語ってくれた。「来場者からも、こんな取り組みをしているなんて知らなかった、日本郵便のイメージが変わった、という声や、ハピキラFACTORYのようなベンチャーと組むということに驚いた、という声もありました」という。日本郵便の変化を伝えるという意味では、成功を収めたといえるのだろう。 

さらに、福井氏はこうも続ける。「チームメンバーからは、まちてんに参加して良かったという声がある一方、これから何を生み出していくかが大事、という声も上がってきました。チーム内では既に来場企業との共創のイメージを話し合い始めており、アポも入ってきています」。 地方創生に向けて、本格的に動き出した日本郵便。「郵便局×オープンイノベーション」の先に、どのような光景が待っているのだろうか。 

(構成:眞田幸剛、取材・文:玉田光史郎、撮影:佐々木智雅)


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