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【Scrum Ventures CEO Summit特集】第一弾

こんにちは。eiicon founderの中村です。eiiconlabにて、来る11月16日(水)、Scrum Ventures CEO Summitの取材実施が決定しました!

当日はシリコンバレーから特別ゲストを招いてのパネルディスカッションやスタートアップCEO達によるセッションが予定されています。

サミット実施に先立ち、スクラムベンチャーズ特別企画を敢行。スクラムベンチャーズ代表の宮田さんによる「VC投資全体の1/3を占めるまでになった大企業によるCVC」という記事をeiiconLabでもご紹介いたします。

●スクラムベンチャーズ(Scrum Ventures)とは?


スクラムベンチャーズは、2013年創業のサンフランシスコ(シリコンバレー)を拠点とするアーリーステージを対象とした投資ファンド。eコマース、ヘルスケア、エンタテインメント、SaaS、教育、IoTなど幅広いカテゴリーの革新的なスタートアップ約40社への投資実績があります。

また、シリコンバレーとアジアの起業家、投資家、学生、企業の距離をさらに縮めるため、コラボレーションスペース「Zen Square」を運営しています。
http://scrum.vc/ja/

●Scrum Ventures CEO Summit


11月16日(水)15:00 〜渋谷dots.開催。
詳細はコチラ → https://eventdots.jp/event/603693

 




「VC投資全体の1/3」を占めるまでになった大企業によるCVC


by Tak Miyata



最近ますますその言葉を耳にする機会が増えるようになった「オープンイノベーション」。

アクセラレータ、M&Aなどと並んで、大企業がスタートアップと連携しオープンイノベーションを実践するための手法として代表的なのが、大企業自らが主体となって運営するベンチャーキャピタル、CVC(Corporate Venture Capital)です。

ベンチャー企業データベース CBInsightsから、世界のCVC投資に関しての2016年上半期のレポートが出ていましたので、そのデータを元に最近のトレンドや日本企業の状況などをまとめてみたいと思います。

投資金額は業界全体の「32%」まで増加


まずは、世界のCVCの「ディール数および投資総額のトレンド」のグラフです。



2016年上半期にCVCが投資を行ったディールの数は633件で、投資総額は$12.7B。これは前四半期と比べると、案件ベースで11%減、金額ベースで41%減と減少トレンドとなっています。

次に、「VC投資全体のトレンドとCVC投資の比較」のグラフです。

これを見るとCVCの活動だけがぐっと落ちたのではなく、VC投資のトレンドとほぼ同期していることがわかります。今年の年初のポストでも書きましたが、昨年「4日に1社ユニコーンが生まれる」という2000年のネットバブルに迫る勢いであったところからVC投資自体が少し停滞し、それに連動してCVCの投資も少し減少している、ということだと考えられます。

また、VC投資全体に占めるCVCの割合は、2013年の上半期と比較すると、金額ベースで23%から32%、案件ベースで13%から20%と大きく上昇していることがわかります。私自身の肌感覚とも非常に近いですが、Scrum Venturesが2013年にシリコンバレーで投資を始めたころに比べて、投資の現場でCVCの方と会う機会は確実に増えています。

これは世界のデータなので、日本ではどうなのか気になるところですが、残念ながらこのレポートでは国別のデータはイギリス、インド、中国のみで日本はカバーされていません。ただ、フィールドマネジメントさんのブログのポストによれば、2015年に日本で設立されたVC(2044億円)のうちCVC(1520億円)の割合は74%と非常に高いため、投資額においても世界の数字に比べてCVCの比率は高いのではないかと想像されます(もしどこかにデータがあれば教えていただければ幸いです)。

新規のCVCは半年で「53社」


ここからは、どのくらいの数の会社がCVCをやっているのか、という話です。

まずは、「アクティブに投資活動を行っているCVCの社数」のグラフです。



2012年のQ1の85社からじわじわ増加傾向にあり、2016年のQ2には176社に達しています。これはScrum VenturesのようなMicro VCの数( 2015年 236社)に匹敵する規模です。

次に、「新規でCVCを立ち上げた企業の数」のグラフです。



こちらも毎年増加しており、2016年は上半期だけで53社と昨年の85社を上回りそうな勢いです。一方で、新規参入数がそのままアクティブなCVCの増加数となっていないため、相当数の企業はCVCを立ち上げたものの何らかの理由で途中で運営を辞めているということになると思います。

上位にランク入りした日本の「金融CVC」


最後に、 具体的にどんな会社がCVCをやっているのか、活発に投資をしているCVCはどこなのかを見ていきたいと思います。

まずは、「米国におけるTop10 CVC」のリストです。

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1位は、GV (旧 Google Ventures)です。ご存知の通り、毎年Googleの$400Mの予算を投資するCVCです。Crunchbaseによれば、今年もすでに33社に投資を行っています。その他にも良く名前を耳にする、テック系、メディカル系のCVCが名を連ねています。

ひとつユニークなのが、8位にランク入りしているBloomberg BETAです。

金融情報サービス大手 BloombergのCVCとして2013年に$75Mでスタートした同社は、ホームページをGithub上に置き、ファンドの運営方針、投資決定の基準などをすべて公開しています。一般論として、CVCは「判断に時間がかかる」「判断基準が不明確」と言われることがありますが、そうしたことのないようにとする思い切ったやり方です。ここに公開されているドキュメントには、これからCVCをスタートしようと考えられている企業の方には参考になることがたくさんあると思います。

Appendixとして、「世界におけるTop100 CVC」リストがありました。そこに名を連ねている日本のCVCのランキングを作成してみました。2016年上半期は10社がランキング入りしており、これは国別で言うと、米国に続いて二番目となります。

上位はCyber Agentや楽天などテクノロジー系の企業が並んでいますが、今年新たにランキング入りした企業として、クレディセゾンのCVC、Saison Ventures、三井住友銀行のCVC、SMBC Venture Capital、日本生命のCVC、Nissay Capitalなど金融系のCVCが目立ちます。やはりFinTech、ブロックチェーンといった新しいテクノロジートレンドが巻き起こっているということが一因でしょうか。

運営の難しさ、担当する人材不足などスタートする難しさもたくさんあるCVCですが、世界的にもそして日本企業の間でも着実に浸透しているようです。個人的には「将来的なM&A先」「戦略的パートナー」としてスタートアップの側からも魅力的なCVCは、もっと数が増えたらいいと思います。

また自社でノウハウがないという場合は、グローバルブレインフィールドマネジメントなどCVCの運営を請け負う企業と一緒に立ち上げるという手段もあります。また、2016年全体のデータが出たら振り返ってみたいと思います。2016年末までにどれだけ新規のCVCが増えているか楽しみですね。