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“強い”共創の枠組みが数多く存在。京都市の抱える生産性の課題とオープンイノベーション事情

“強い”共創の枠組みが数多く存在。京都市の抱える生産性の課題とオープンイノベーション事情

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地方自治体のオープンイノベーション事情を探る「CLOSEUP OI」、今回は京都市の取り組みに迫ります。京都市は150万人近い人口を抱える政令指定都市であり、観光を中心としたサービス業が盛んなだけでなく、国内最高峰の学舎である京都大学の所在地でもあり、特徴は豊富です。

また、近年ではオープンイノベーションに注力しており、さまざまな切り口のアクセラレータープログラムや共創の受け皿があるため、企業にとっても選択肢が多くなっています。京都市がオープンイノベーションに力を入れている背景を紐解きながら、どういったオープンイノベーションの枠組みがあるのか解説していきます。 

観光・教育は強い一方で、生産性の低さなど課題はくっきり浮かび上がる

京都市の経済と産業を客観的にみていくと、強みと弱みがはっきりと浮かび上がってきます。京都市は一人当たりの市民所得では、政令指定都市のなかで4位と上位をキープしていて、総生産の高さがわかります。産業別従業員数の特化係数を見ると「教育・学習支援」と「宿泊・飲食サービス業」が平均を上回っており、教育と観光が総生産を牽引する形です。


出典:京都市産業戦略ビジョン

教育と観光という強みがはっきりしている一方で、課題もあります。ひとつは宿泊・飲食サービス業の労働生産性が低いことです。


出典:京都市産業戦略ビジョン

この原因は宿泊・飲食サービス業の非正規雇用の多さがあります。この業種での非正規雇用率は75%にのぼり、このうち2割は非正規雇用を望んでいません。事務職は求人倍率が低いのに対して、販売やサービス業は求人倍率が高くなっていて、雇用のミスマッチが発生していることがわかります。


出典:京都市産業戦略ビジョン

その結果、市民実感として「いきいきと働ける場を得る機会の提供が実感される」と答えた人は14%にとどまっており、労働環境の整備が急務である実態が明らかになっています。

社会課題解決に本気。京都の豊富な共創の枠組み

京都では豊富な共創の枠組みがあります。他のオープンイノベーションに前向きな地域と比べても、オプションの数は非常に多く、質も高いです。数ある共創の枠組みの中から、面白いものをいくつか紹介します。

京都市が主導する共創拠点「京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)」

京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)は、市民、企業、NPO、大学などの多種多様な組織や個人が、京都で社会的課題の解決に挑戦するため、2015年に設置された拠点です。


出典:京都市ソーシャルイノベーション研究所 | SOCIAL INNOVATION LABORATORY KYOTO

京都市と京都高度技術研究所によって運営されるSILKは過度の効率性や競争原理とは異なる価値観を世界にも広めることを目的にした「京都市ソーシャル・イノベーション・クラスター構想」を推進しています。

参考ページ:京都市ソーシャルイノベーション研究所 | SOCIAL INNOVATION LABORATORY KYOTO

オール京都体制で立ち上げたオープンイノベーションカフェ「KOIN(Kyoto Open Innovation Network)」

「KOIN(Kyoto Open Innovation Network)」は、京都府、京都市及び京都の産業界のオール京都体制により設立された京都知恵産業創造の森が運営する京都経済センター3階のオープンイノベーションカフェの愛称です。起業やビジネスのイベントだけでなく、アクセラレータープログラムも実施されており、アイデアさえあれば参加できるカジュアルさが特徴です。

参考ページ:KOIN(Kyoto Open Innovation Network)

大学ベンチャーのメッカによる「京都大学オープンイノベーション機構」

有力な大学ベンチャーが数多く生まれることで有名な京都大学によるオープンイノベーションの枠組みが「京都大学オープンイノベーション機構」です。全学の研究テーマをベースに「組織」対「組織」の本格的な大型共同研究を企画し実施する研究拠点となっています。

各分野研究者や研究の実績、ネットワークといった強固なアセットを活用できる可能性があり、産学連携をハイレベルに実行できるのが特徴です。

参考ページ:京都大学 オープンイノベーション機構

次世代スマートシティの実現を目指す「KICK(けいはんなオープンイノベーションセンター)」

京都府中小企業振興公社、京都産業情報センター、京都産業技術振興財団が統合して誕生した京都産業21が運営母体となっている共創拠点が「KICK(けいはんなオープンイノベーションセンター)」です。

京都産業21の目的は産官学の連携による中小企業の経営革新、新事業展開、新産業育成、創業、企業のIT化推進などを支援することです。KICKでは関西が有する学術、ものづくり産業の蓄積、けいはんな学研都市が有する研究開発・社会実証フィールドとしての蓄積を拠点形成に活用しています。次世代スマートシティの実現をテーマに、入居企業との共創を推進しています。

参考ページ:けいはんなオープンイノベーションセンター

【編集後記】オプションの多さは随一

京都市としての課題は人口減少や労働生産性が挙げられており、他の自治体と課題感は似ている印象でした。一方で、オープンイノベーションに対する熱量は高く、紹介したように強い地盤を持つ団体が運営する共創の枠組みが数多くあります。

京都に拠点を持つスタートアップや、事業のアイデアを持つ人にとって、これほどオプションがあるのはかなり恵まれた環境であると言えるでしょう。

TOMORUBA編集部

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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

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