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“食”や”農業”の課題解決に「共創」を取り入れる。新潟県のイノベーション施策を紐解く

“食”や”農業”の課題解決に「共創」を取り入れる。新潟県のイノベーション施策を紐解く

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オープンイノベーションを実践する地域の取り組みを紹介するシリーズ企画「CLOSEUP OI」。今回は新潟県をピックアップします。

新潟県はお米の産出額が全国トップクラスの農業王国。さらに、米菓出荷額や酒造の数なども全国有数で、食品業が盛んです。また創業が100年以上の老舗企業も数多くあるほか、製造業や建設業、IT・情報通信の企業も活躍しています。

――このような産業の特色を持つ新潟県では、どのようにオープンイノベーションに取り組んでいるのでしょうか?新潟県が掲げる「新潟県総合計画」や「にいがた産業ビジョン」を紐解きつつ、オープンイノベーションやスタートアップ創出の取り組みを解説していきます。

「にいがた産業ビジョン」のもと、オープンイノベーションを促進

県政運営の総合的・基本的な指針であり県の最上位の行政計画である「新潟県総合計画」(2022年4月改訂版)。本計画の中で、新潟県の課題として掲げられているのは「歯止めがかからない人口減少」。全国より速いペースで少子高齢化が進展していると言及されています。そうした課題を踏まえ、基本理念として提示されているのが「住んでよし、訪れてよしの新潟県」。県民が新潟に住んでいることを誇りに思い、国内外の方々が新潟に魅力を感じ、来訪してくれる新潟県を目指す、とあります。

この「新潟県総合計画」の達成に向けて、策定されたのが「にいがた産業ビジョン」(2023年3月 新潟県産業労働部)です。

「チャレンジする場として企業等に選ばれる新潟」として重点取り組みに挙げられているのが、『起業・創業の推進』、『イノベーションの推進・次世代成長産業の創出』、『防災産業クラスター形成』、『産業のデジタル化』、『脱炭素化に向けた再エネ・新エネの導入促進』、『海外販路開拓の推進』、『ものづくり産業の強化』『、新潟清酒の振興・新たな酒文化の創造』、『事業承継の推進』の9つです。

『起業・創業の推進』では、新潟版スタートアップエコシステムの形成を推進し、大学発ベンチャーを含むスタートアップを次々と育成・創出すると明示されており、さらに『イノベーションの推進・次世代成長産業の創出』では、新素材技術、防災、食品等をキーワードに実証や協業の場を創出し、県内企業のオープンイノベーションを促進する、と言及されています。

――それでは、新潟県では具体的にどのような取り組みが実施されているのか、以下に紹介していきます。

新潟県×KDDIによる共創プログラムがスタート

2023年2月から活動をスタートしたのが、新潟県内の事業共創を促進するプログラム「InnoLaboNIIGATA produced by KDDI」です。

新潟県は創業100年以上の企業出現数が全国3位である一方、起業するスタートアップの少なさやDXの遅れなどが課題。こうした中、新潟県とKDDIは2022年9月、「起業・創業および地域産業のDX推進による地域共創の実現に向けた包括的な連携に関する協定」を締結し、本プログラムの開始に至りました。

「InnoLaboNIIGATA produced by KDDI」では、新潟県新潟駅南口 PLAKAを拠点とし、新しい技術やビジネスアイデアを持つスタートアップと、地域を支えてきた地域企業による事業共創の機会を提供。具体的な活動として、KDDIが「KDDI ∞ Labo」で培った事業共創ノウハウを生かし、1カ月に1回、定期的にイベントを開催。加えて、県内のベンチャーに理解のあるナショナル企業(20社程度からスタート)でパートナー企業連合を作り、毎月のイベントと共にスタートアップと地域企業のコミュニケーションや課題解決などをサポートし、事業共創のマッチングを支援します。

”食”分野に特化した「Fooin」

新潟県の県庁所在地及び最大の都市であり、政令指定都市である新潟市。同市では、成長産業・イノベーションに関する取り組みとして「XR活用推進」、「航空機産業支援」(NIIGATA SKY PROJECT)、「にいがたドローン実証ワンストップハブ」、「フードテック」など、独自性のある事業を推進しています。

こうした中、オープンイノベーションの考え方を取り入れたプロジェクトとして注目を集めるのが、「Food Open-Innovation in Niigata」(Fooin:フーイン)  です。新潟市の強みであり市内企業への波及効果の高い食分野における創業や新事業創出を図るため、Fooinの活動がスタート。アクセラレータープログラムなどが実施されており、2022年度には合計9つの共創プロジェクトがエントリーしました。「生産者×保育園 オンライン食育でリアル体験」や「醸造管理SaaSによる、酒税業務効率化と原価管理見える化」、「リアルなきのこの育成をゲームで体験!」など、新潟ならではの”食”に関する共創プロジェクトが推進されています。

※参考ページ)新潟市:成長産業・イノベーション

https://www.city.niigata.lg.jp/business/growing/index.html

2019年からスタートした「NaGaOKaオープンイノベーション」

新潟県の中南部に位置し、県内では新潟市に次いで第2位の人口を持つ長岡市。同市は、変化の波を的確にとらえ、市民生活の向上と産業の活性化を実現する「長岡版イノベーション」を推進しています。

その中の取り組みの一つが、「NaGaOKaオープンイノベーション」です。これは、ICT等の技術や新しい考え方などを活用して長岡市がもつ課題を解決するために、民間事業者から解決アイデアを募集し、実証実験に取り組む事業。2019年からスタートしており、これまでに「タクシー相乗りマッチングアプリ『nearMe.』実証実験」や「リアルタイム空き情報配信プラットフォーム『VACAN』の導入」などに着手しています。

”食”や”農業”関連のスタートアップも選定されている「J-Startup NIIGATA」

それでは最後に、新潟県におけるスタートアップ創出の取り組みについて紹介していきます。

経済産業省が推進するスタートアップ企業の育成支援プログラム、J-Startup。新潟県では、公益財団法人にいがた産業創造機構、関東経済産業局と共同で、J-Startupプログラムの地域版である「J-Startup NIIGATA」を2022年にスタート。地域に根ざしたイノベーティブなスタートアップ企業を選定し、公的機関と民間企業が連携して集中的に支援することで、選定企業の飛躍的な成長と、新潟のスタートアップエコシステムの強化を目指しています。

現時点(2023年4月)で認定されているのは、25社です。飼料に地元酒粕を配合し、温泉水を活用したスッポンの養殖事業を展開する「魚沼スッポン」、新たなお酒に出会える日本酒レコメンドサービス「サケアイ」など”食”に関するスタートアップや、養殖と水耕栽培を同時に行うアクアポニックスという循環型農法を活用した植物工場を全国に展開する「プラントフォーム」、生産者の声から生まれたクラウド型営農支援ツール「アグリノート」を開発・提供する「ウォーターセル」など”農業”に関連するスタートアップが選定されているのは、「J-Startup NIIGATA」の特色の一つと言えるでしょう。

(TOMORUBA編集部)

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全国の自治体が官民で取り組んでいるオープンイノベーションに迫るシリーズ企画。