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農業の生産性向上・省力化――明治創業の資材メーカー・小泉製麻が共創で社会課題に挑む

農業の生産性向上・省力化――明治創業の資材メーカー・小泉製麻が共創で社会課題に挑む

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神戸市主催のオープンイノベーション・マッチング事業「Flag(フラッグ)」では、ホスト企業として地元に拠点を構える10社が参画。各社がどのようなテーマを提示しているのかを取材していく(※)。――今回取り上げるのは、創業から133年を迎える繊維資材メーカー・小泉製麻株式会社だ。

同社は、黄麻(ジュート)の紡績に端を発し、長らく天然素材を扱ってきた歴史を持つ。これまでにも、環境問題に対するソリューション開発に向けてさまざまなチャレンジをおこなってきた。現在、フォーカスしているのは農業分野。サステナブルな農業資材の開発のほか、高齢化が進む農業従事者と人手不足の問題に対し、生産性向上と省力化につながる資材の面からのサポートを模索する。

歴史に積み上げられた実績とネットワークを持つ同社は、この取り組みをさらに推し進めることを目的として、「Flag」にホスト企業として参画。募集テーマとして『人と作物に優しいサステナブルな農業ソリューション開発』を掲げている。

新たなパートナー企業とどのような共創を実現したいのか、また、同社のホスト企業としての強みなどについて、戦略推進部門長の安立剛士氏、Mソリューション室長の木村ちひろ氏に話を聞いた。

※「Flag」インタビューシリーズの記事一覧はこちらをご覧ください。

老舗資材メーカーが取り組む、人と地球に優しい農業のためのソリューションとは

――最初に、「Flag」に参画した背景を教えてください。

木村氏 : 弊社は神戸市に本社のある資材メーカーで、土木・建築資材や物流資材などの多くの事業領域を扱っています。現在は、農業資材の開発に力を入れており、その分野で、さまざまな知見を持つ企業様にご協力いただき、新素材や新しいソリューションの開発をおこなっていきたいと考え、参画しました。


▲小泉製麻株式会社 Mソリューション室 室長 木村ちひろ氏

――募集テーマとして『人と作物に優しいサステナブルな農業ソリューションの開発』を掲げられています。このテーマ設定の理由についてお聞かせください。

木村氏 : 農業分野においても、環境負荷を低減させることは時代の要請となっています。あわせて、農業従事者の高齢化や担い手不足も、現在の農業分野における大きな課題であり、その解決が求められています。それらの課題に対して資材メーカーの立場から、できることがあるのではないかと考えているためです。

具体的には、たとえば、作物の生産性を高めるために役立つ資材の開発や、農業従事者の労力を削減し楽しく農業に取り組めるようなソリューションの開発です。これらを、私たちが扱ってきた環境負荷が低い資材を活用しながら実現していきたいという想いを、今回のテーマ設定に込めました。

安立氏 : 弊社は明治の創業当初から、天然素材である麻を使った製品を扱ってきており、自然に由来するものを大切にする理念を持った企業です。

一方現在では、農業分野でも、化学製品への依存が大きくそれが行き過ぎたことが、温暖化をはじめとする環境問題に結びついている面は否めません。そこで、改めて、私たちが扱ってきた天然素材や自然素材の良さ、環境負荷の低さといった点を前面に押し出した商品を、農業分野でも展開していきたいと考えています。


▲小泉製麻株式会社 戦略推進部門 部門長 安立剛士氏

――次に、どういった企業と、どのような共創を実現していきたいかという点について教えてください。

木村氏 : 大きく分けると、3点あります。1つ目は、作物栽培の環境に欠かせない「光、温度、湿度」の調整に関わる点。2つ目は、微生物、酵素などを活用した害虫の発生を管理・予防といった点。そして3つ目は、バイオプラスチックなど生分解性素材や、遮熱性が高くアルミの代替となるような素材の開発、活用の点です。

この3点に関して、知見や技術、サービスなどをお持ちの企業様がいらっしゃれば、ぜひお話してみたいと思っております。

スピード感ある研究開発機能、農場などとのコネクションも活用できる

――パートナー企業に対して、御社から提供できるリソースやアセット、あるいは強みなどには、どんなものがありますか。

木村氏 : まず、これまでに弊社で開発してきた農業用資材、物流資材の製品開発に関する知見があります。岸和田の工場には研究開発機能を保有しており、この拠点を利用していただくこともできます。

また、創業133年を迎える弊社がこれまで培ってきた、全国の顧客、仕入先、協力機関などとの幅広いネットワーク、さらには、農業試験場などの公共機関や有力な農家さんなどとの強力なコネクションを活用していただけることも、大きな強みだと考えています。


▲小泉製麻が農業資材として提供している「ハウス内張りカーテン」

安立氏 : 社内に開発、製造部門があることから、新しいことをすぐ試してみる、小回りの利く対応ができるのが弊社の特徴です。たとえば、取引先などからの提案などを受ければ「じゃあ、ちょっとやってみよう」といって、すぐに製造にトライします。課題にすぐに取り組んで形にしようするスピード感のある社風は、共創いただける企業様にとっても、やりやすいのではないかと思われます。

また、製品ができたらそれで終わりではありません。それを商品として市場に広め、流通させていく、マーケティング、販売などの機能もしっかりしていると自負しています。

木村氏 : そのような弊社の強みを活かしながら、農業資材では、複数の新しい資材を開発しています。農家さんによく知られているのは、「ルンルンシート 白ピカ」という製品があります。これは、光を反射する機能を持ったシートで、ハウス内や露地栽培の地面に敷くことで、作物に当たる光を増やし光合成促進や果実の色付けを促進する効果があり、また、抑草効果も持つシートです。

多くの農家さんにご協力をいただきながら試験をおこない、農業試験場での試験も重ねた結果、多くの方にご利用いただける商品が完成しました。

社会課題の解決という大きなチャレンジに向けた新しい出会いに期待

――最後に本事業にかける意気込みや、応募企業様へのメッセージをいただけますか。

木村氏 : いままでにも、さまざまな企業様に協力をいただいてきたのですが、農業分野ということで、たとえばIT系の企業様などは、正直あまり接点がありませんでした。この機会に、そのような、これまでに接点の少なかった分野の企業様との新しい出会いができることを楽しみにしています。

安立氏 : 弊社の名前や製品は、一般的な知名度は低いと思いますが、世の中でよく見るものや使われているものが実は弊社の製品ということがよくあります。それは、さまざまな企業様が持つ技術を組み合わせてチャレンジするということをやってきた結果であり、その姿勢を貫いています。

スタートアップ企業様や大学の研究機関様など、それぞれが武器として持っている技術をご提案いただければ、それを、弊社がカバーする領域のなかで商品化につなげることができます。環境問題をはじめとする社会課題をいっしょに解決していきたいと考えておりますので、各方面からお知恵をお借りする形でその取り組みを進めていければと思います。


KOBE OPEN INNOVATION「Flag」 10/13(木)応募締切

神戸市内企業と市内・全国のパートナー企業とのオープンイノベーションプログラム

(編集・取材:眞田幸剛、文:椎原よしき)

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