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【イベントレポート】 「ニッポンイノベーター塾 Innovators Voice #4」前例なきキャリアへの挑戦〜独自のスタンスでイノベーションの創出に取り組むフリーランサー&事業責任者が登壇!

人材育成や組織改革のコンサルティング事業を通して、イノベーションの創出を支援する株式会社ワークハピネス。先月9月13日、そんな同社が開講した「ニッポンイノベーター塾」によるミートアップイベントの第4弾が開催されました。

今回の登壇者は、文系フリーランス/フリーランス研究家の黒田悠介氏と、ソニー出身で現在は株式会社チカク(まごチャンネル)の事業開発責任者を務める伊藤景司氏の2名。ニッポンイノベーター塾は、社会起業を目指す個人と大手企業の次世代リーダーが異業種連合でチームを組み、オープンイノベーションによる本格起業を目指すプロジェクトです。今回の登壇者の組み合わせも、そうした同プロジェクトの独自性が感じられるものとなり、他では聞けないピッチに期待が高まります。

実際、これまで以上にオープンイノベーションや社会起業に高い意識・関心を持った参加者を募るべく、今回から有料制に変更。にもかかわらず、参加希望者は40名近い人数に。さらに参加者同士のディスカッションを盛り上げるべく、会場には複数のテーブルが設置され、数名同士で自然とチームになれるような仕掛けも施されていました。

なお、主催者であるニッポンイノベーター塾・鬼海翔氏によると、10月16日には“loTの革命児”とも呼ばれる旭鉄工株式会社/i Smart Technologie株式会社・代表取締役社長の木村哲也氏が登壇するミートアップイベントの実施も決定済みとのこと。すでに参加希望者からの問合せも相次いでいるそうで、回を重ねるごとに同塾とイベントへの注目度は高まっています。

▲ニッポンイノベーター塾  事業統括・鬼海翔氏


Innovators Voice(1) フリーランス研究家・黒田氏

▲文系フリーランス/フリーランス研究家 黒田悠介氏

最初に登壇した黒田氏は、フリーランス1,000名の互助組織「FreelanceNow」の発起人を務める傍ら、ライフワークとしてスタートアップから大企業まであらゆる企業のディスカッションパートナーとして活動。年間30社、現在も7社の 新規事業立ち上げをサポートしています。ニッポンイノベーター塾でも塾生のメンターを務める他、様々なピッチイベントへの登壇も多く、あえてフリーランスとして活動し続けながらオープンイノベーション領域で高い存在感を発揮するユニークな存在です。(公式サイトhttp://www.discussionpartners.net/

そんな黒田氏が「せっかくなので、他ではしない生々しい話を」と語ったのが、ベンチャー企業で新規事業立ち上げを手掛けた経験や、自らの起業体験などをケーススタディとした、事業・イノベーション創出における課題と解決策の考え方でした。

例えば、無料掲載型のサンプリングサービスで、クライアントやユーザーの負担を増やすことなく売上を高める方法を模索した黒田氏。そこで直接的な課題にフォーカスするのではなく、あえて事業に関連するステークホルダーや登場人物を拡張し、「ユーザーからいただく送料はそのままに、配送コストを見直すことができれば、差分を売り上げに計上できる」と発見。こうした実際の事例を踏まえつつ、「知識として持って帰っていただきたいのは、各論ではなく、皆さんがすぐに活用できる発想方法などの抽象的なこと」と語ります。

中でも、キーワードとして取り上げたのが「大局観」です。黒田氏は、事業を考える際に全体を俯瞰して勝ち筋を見出していく感覚が必要だと語り、大局観には“関係性”“時間軸”“意味”という3種類があるといいます。

ここで黒田氏の考えを一部紹介すると、「関係性の大局観」は事業の関係者や登場人物を増減させることで、事業課題の画期的な解決策を見出す方法。黒田氏は「リクルートグループのリボンモデルと呼ばれるビジネスモデルや、自身でホテル業を行わず、あえてホストという第三者を入れたAirbnbのようなプラットフォームなども、“関係性の大局観”のひとつ」と言います。

こうした種類を認識した上で、黒田氏は「あなただけが持っている大局観は何か? を考えるのが一番大事。その大局観に基づいた発想や着眼点を事業に活かせば、他の人が絶対に追いついて来られないサービスができるはず」と語り、ピッチを締めくくりました。


Innovators Voice(2) 株式会社チカク・伊藤氏

▲株式会社チカク(まごチャンネル)  事業開発責任者 伊藤景司氏

長年、ソニー株式会社にて新規事業や海外マーケティング、商品企画・営業などに従事してきた伊藤氏。そんな伊藤氏は今年、社員わずか10名で画期的なプロダクト「まごチャンネル」を開発・販売するスタートアップにジョインしました。今回のピッチでは、世界的大企業と知る人ぞ知る国内ベンチャー、その対極の環境を経験して実感した、「変わったこと/変わらないこと」を紹介しました。

まず、伊藤氏がどんな環境でも変わらない想いとして語ったのが、「顧客に徹底的に寄り添うこと」です。一例としてあげたのが、ソニー時代に取り組んだ社長直轄の少数精鋭プロジェクト「Life Space UX」。このプロジェクトでは、社内で眠っていたシーズ技術を掘り起こしながらも、それありきではなく、顧客視点を徹底。「重要なのは、シーズ技術に対するニーズを検討し、ユーザーの想定イメージを明確にして、ビジネスが成り立つかバランスさせることが重要」と言います。

実際、伊藤氏はある照明型スピーカー・グラスサウンドスピーカーの開発に取り組んだ際、「バリュープロポジションキャンバス」というプロダクトと顧客の結びつきを視覚化するフレームワークを活用して、幾度もブレストを実施。日米で一般ユーザー100名にインタビューも行い、ユーザー層のペルソナを明確にしていったと言います。またプロトタイプづくりに関しても、「仮説検証を高速サイクルで回し、その回数を増やすことで解の質を高めることが重要」と話し、簡単にできるダーティープロトタイプを作ってクイックに検証をするために、例えば空き缶を積み重ねて商品の大きさをイメージするというエピソードも紹介しました。

こうした顧客に寄り添う姿勢と開発ノウハウは、現在参画する株式会社チカクでもそのまま活きていると言います。同社では、「毎日できる最高の親孝行」というビジョンをもとに、スマホで撮った子どもの動画と写真をそのまま実家のテレビへ送り、孫専用チャンネルを設けられるようなデバイスを開発。ITに不慣れなシニア層でもすぐに使えるように、ボタンや配線などを減らし、さらにモバイル通信などの初期設定もすべて行った上で提供していると言います。こうしたかゆいところに手が届くサービスも好評で、ユーザーはすでに47都道府県、世界30都市に広がっているとのこと。

伊藤氏は、「私自身、やりたいことは何一つ変わっていない。けれど大企業とスタートアップでは、資金力と自由度に大きな違いがある。皆さんも、そうした違いを認識しつつ、今までにない顧客価値の創出を目指してほしい」と、実体験をベースにしたメッセージを送り、登壇を締めくくりました。


取材後記

今回のイベントでは、ニッポンイノベーター塾から創業を果たした「Hometowns」の行正氏をはじめ、多くの塾生も参加。7月からプログラム第2期が本格始動したタイミングということもあり、質疑応答やディスカッションもこれまで以上の盛り上がりを見せました。今まさにオープンイノベーションに取り組む塾生と直接触れ合い、その熱を実感できることもこのイベントならではの魅力と言えるでしょう。

ユニークなアイデアを生む発露は、プロジェクトに参加するメンバー一人ひとりが持つ事業開発に臨む姿勢や着眼点の違い、そしてその掛け合わせです。独自技術やリソースばかりを意識するのではなく、今回のピッチで語られた「大局観」の考えや、「顧客に寄り添う」といったスタンスを組み込むことが、新たな事業の種を生む可能性も十分あるはずです。

(構成:眞田幸剛、取材・文:太田将吾、撮影:加藤武俊)


次回イベント情報

ニッポンイノベーター塾 ミートアップイベント

Innovators Voice #6  Newspicksで話題騒然! アキバで買った50円のセンサーで4億円のコストダウンを実現した常識外れのIoTサービス

日時:10月16日(月)19:30-21:30 ※開場は19:00

場所:株式会社ワークハピネス本社 セミナールーム5階

     (東京都港区浜松町2-6-2 浜松町262ビル5階)

費用:1,000円(立食交流会付き)

登壇予定:旭鉄工株式会社/i Smart Technologies株式会社 代表取締役社長 木村哲也氏

※イベント詳細およびお申し込みについては、以下URLよりご確認ください。

http://peatix.com/event/305618