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【連載/4コマ漫画コラム(3)】秘伝:大阪のおばちゃんから学ぶ社内説得術

■なんだかんだ言っても社内説得が必要

オープンな気持ちで、社外をウロウロして、いい人たちと出会い、やっと見つけた「オープンイノベーション」のネタ。よーし、これだ!と気合は入っているのに、会社に持ち帰っていざプロジェクトを始めようとすると、社内には色々な壁が・・・。それをいちいち乗り越えていかないといけないのが、社内イノベーター(イントレプレナー)の「定め」です。 

どうやって上司に承認させるか、どうやって関連部署の協力を得るか。もちろん、いかに魅力がある提案内容にしていくかは重要です。でも、もしかしたら、それ以上に効くのが「説得・交渉の仕方」です。 

その「説得・交渉」の達人は「大阪のおばちゃん」。大阪のおばちゃんがやっていることを活用して、社内説得の達人になりましょう!  


■大阪のおばちゃんの秘技 ①何度も言う

よくいるのが、「提案したけど、ダメだった」とあっさりと諦めてしまうタイプ。新しいことはそんなに簡単に承認されないのは当たり前です。何度も何度も同じことを機会あるごとに(機会を作って)提案しましょう。 

ダメ出しされたら、どこがダメかを聞いて、そこを「ちょこっと」直して、また提案しましょう。ポイントは「ちょこっと直す」です。修正をしているうちに本質的なところが揺らいでしまっては意味がありません。極端に言うと、「前回、ご指摘をありがとうございました!再検討しましたので、ぜひお聞きください!」とか言って、実は何も変えずに全く同じ話をする、というのでもいいくらいです。なぜなら、承認者(上司や偉い人)は、提案内容の良し悪しを見ている以上に、その提案者の本気度を試していることが結構あるからです。『コイツ、これだけダメ出ししているのに、また持ってきたな。その本気度と熱意でOKにしてやるか』となります。 

オープンイノベーションの初期段階ではそれほど大きなお金や組織作りは必要ないので、「本気度」で乗り切る迫力が、この「何度も(同じことを)言う」に現れます。 

付け加えると、上司はちゃんと理解していないがために(立場とかばかり考えて)否決してしまう場合もよくあります。オープンイノベーションのネタは新しいコトばかりなので仕方ないのです。だから、何度も説明して「あげる」ことはとても大事です。  


■大阪のおばちゃんの秘技 ②やたら距離が近い

大阪のおばちゃんは、気が付くと目の前にいます。至近距離です。 人間も動物です。無意識に「テリトリー(なわばり)」があります。そのテリトリーの境界辺りでウロウロすると、敵と思って、攻撃したり警戒したりします。しかし、その内側の身近な領域にいる人は、「家族や恋人や友人」と認識します。だから、なんとかその領域まで踏み込みましょう。これは精神的な距離を言っているのではなくて、物理的な距離の話です。 

具体的には、偉い人に提案するときに、ついついいつもと同じような大会議室(役員会議室とか)を使ってしまって、自分と相手の間が数メートル以上も離れた状態で説明していると、相手の心の底には「よーし、叩き潰してやる」という本能的な気持ちが最初に湧いてきてしまいます。 

そうではなく、小さな会議室を予約して、かつ、「このPCの動画を一緒に見ていただきたいのですが」とか言って、相手のすぐ横の席に座って、殆ど体が密着するぐらいの距離で説明を行うと、成功確率はグン!と上がります。本当です。  


■大阪のおばちゃんの秘技 ③相手のことを好きになる

「あー、あの上司にこんな提案するのか。気が重いなあ」ということはよくあります。よくわかります。それを乗り越える秘策は「無理にでも相手のことを好きだと思い込む」ことです。つまり、自分に暗示をかける。そして、「この人のこと、好きだなあ。こうやって苦虫をかみつぶしたような顔をして、なんだかんだケチつけてばかりいるけど、本当は私のこの提案がいいと思ってくれているのに、立場上、そうも言えないので、内心葛藤しているんだなー。ちょっとややこしいけど、ある意味素直だし、こういう人、好きだ、好きだ、好きだ・・・」のように心の中でつぶやくのです。 

「このバカ部長をどうやって説き伏せるか」みたいなことばかり思っていると、それが態度にも出て、相手も敵対モードになりますが、人間は、自分が好きな人間に対して悪い感情は抱きにくいものです。 

大阪のおばちゃんは、「おっちゃんかっこええわー、好きやわー」と口に出して言えるのですごいのですが、会社で「XX部長、好きです」と提案中に言うとかなり変な人になってしまうので、代わりに心の中で何度も唱えましょう。 

「でもなあ、私は関西人じゃないし、そんなことできない」と思っている方は、ぜひ、大阪に行って、大阪のおばちゃんの弟子入りをしましょう。そして、毎日、あちこちのお店で値切り交渉を一緒にやっていると(大阪では百貨店でもやります)、いつの間にかあなたも立派な大阪のおばちゃんに。(私はおじさんですが、中身はおばちゃんだといつも思っています)


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

 

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

瀬川秀樹先生連載/4コマ漫画コラム