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「米を食べる」罪悪感解消へ――フジッコが変えたい日本の食卓

「米を食べる」罪悪感解消へ――フジッコが変えたい日本の食卓

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神戸市主催のオープンイノベーション・マッチング事業「Flag(フラッグ)」では、ホスト企業として地元に拠点を構える10社が参画。各社がどのようなテーマを提示しているのかを取材していく(※)。――今回は、煮豆の「おまめさん」や昆布佃煮の「ふじっ子煮」など、知名度の高い商品を提供するフジッコ株式会社を取り上げる。

今やダイエットの常識ともなっている「糖質制限」だが、多くの人が頭を抱えているのが主食の選び方だ。一般的な炭水化物は糖質が高く避けたいものの、米やパンを食べたいと思っている人は少なくない。そうした中で、新しい主食の選択肢としてフジッコが提供しているのが「ダイズライス」だ。主原料は大豆のため低糖質・高タンパク質で、健康志向の方たちの間で人気となっている。

メディアでも紹介されて話題になったものの、まだまだ日本の食卓に浸透したと言うには程遠いのが現状だ。そこで同社は、『低糖質・高タンパク質なお米状の主食「ダイズライス」を使った新たな食事及びサービスの創出』というテーマを掲げ、「Flag」に参画する。

「ダイズライス」を手がける新大豆食品事業部 部長 田口敬子氏にインタビューを実施し、「Flag」を通してどのような共創を実現したいのか話を聞いた。

※「Flag」インタビューシリーズの記事一覧はこちらをご覧ください。

一部の人たちに絶大な人気を誇る、「ダイズライス」

――まずは「ダイズライス」について、開発した背景を聞かせてください。

田口氏 : みなさんもご存知のとおり、私たちフジッコはお豆や昆布、惣菜などを中心に食卓の脇役となって食卓の品数を増やすような食品を提供してきました。煮豆の「おまめさん」は多くのお客様に支持されているものの、食のトレンドとしては食卓に登場する品数が減少し、さらに日本の伝統食品である煮豆を若年層のお客様に手に取ってもらうのに課題を感じています。素材としての大豆は、健康的な食材として定期的にブームが来るものの、食べやすい食品ではないため、時間が経てば離れていってしまいますし、継続的にファンになってもらうには至っていません。

そこで大豆をできるだけ食べやすく加工し、食卓の主役になれる商品として開発したのが「ダイズライス」です。従来の商品とは違い、スーパーで販売するだけでなくインターネット販売やBtoB事業にも注力し、ビジネスを展開しています。


▲フジッコ株式会社 新大豆食品事業部 部長 田口敬子氏

――「ダイズライス」の販売から1年半ほどが経ちますが、売れ行きはいかがでしょうか。

田口氏 : 現在は販路を通販に絞っているので、お客様に直接アプローチしながら地道に販売している状況です。インタビュー調査でお客様の話を聞いていると、コロナ禍になって健康のために食事を見直した方がとても多く、特に糖質を減らす努力をしている方が「ダイズライス」を選んでくれています。お米は好きだけど3食たっぷり食べるには罪悪感がある。そういう方にとても喜んでいただいていて、まだ数は少ないもののヘビーユーザーの方たちには何度もリピートしていただいていますね。

――どのような方がヘビーユーザーになっているのか教えてください。

田口氏 : 主に40~50代で健康を気にされている方たちです。男女比のばらつきは思っていたほどなく、女性が6割、男性が4割ほど。意外にも男性の方が一度気に入ると何度もリピートしてくれているようです。

私たちとしては「高タンパク質」の食品としても打ち出していきたいと思っていたのですが、現状お客様方に響いているのは「低糖質」。現在低糖質のパンや麺類はたくさんありますが、お米に代わるものはまだほとんどありません。低糖質でお米の代わりになるものを探していたお客様がダイズライスに出会って購入して下さったケースも目立ちます。

――今回、「Flag」に参画したのも、より多くの人に商品を手にとってほしいということですね。

田口氏 : そうですね。もともと私たちが想定していたターゲットは30~40代の美意識が高い女性だったのですが、まだ十分にアプローチできていません。ニーズと商品コンセプトが合致していないのか、それとも単に情報が伝わっていないだけなのか。それを確認するためにも、新しいチャネルを通じてアプローチできればと思い、「Flag」に参画させてもらいました。


▲フジッコの新ブランド『Beanus』(ビーナス)からリリースされている、「ダイズライス」。植物性タンパク質をはじめとする栄養豊富の大豆をお米のように食べられる新発想の大豆食品だ。

「飲食店」「フィットネス企業」にダイズライスの価値を届けたい

――『低糖質・高タンパク質なお米状の主食「ダイズライス」を使った新たな食事及びサービスの創出』という募集テーマを掲げていますが、どのようなパートナー企業と共創を実現していきたいとお考えでしょうか。

田口氏 : 大きく三つのパターンを考えています。まず一つ目は、飲食事業を展開している会社です。「ダイズライス」の特色である低糖質・高タンパク質のコンセプトにマッチした、健康的な食事を提供している飲食店さんや宅食サービス事業者さんと組めればと思っています。

二つ目は、上記とは逆にカロリーや糖質の高い食事を提供しているお店です。カロリーが高いから、せめてご飯の糖質を減らして罪悪感を減らしたい。そう思っているお店にも興味をもってもらえたら嬉しいです。

三つ目は、高タンパク質という特徴を活かして、スポーツ関係やフィットネス関係の企業さんと組みたいと思っています。若い方向けの身体づくりはもちろんのこと、シニア向けにフレイル予防などをしている企業さんに「ダイズライス」を取り入れていただけないかと思っています。

――すでにダイズライスを提供している飲食店はあるのでしょうか。

田口氏 : 業務用商品を供給し、取引させていただいている飲食店さまが数件あります。例えば東京にある薬膳カレーのお店には喜んで使っていただいています。薬膳カレーを提供しているので基本的にそのお店のお客様は健康意識の高い方です。もともとは白米を提供していたのですが、ご飯を減らしてほしいという方が多く、中にはカレーのルーだけを食べるお客さんもいて。「せっかく身体にいいものを提供しているのだから、米にも工夫できないものか」と言われたこともあるようです。そこで「ダイズライス」を見つけていただき、追加料金で白米からダイズライスにチェンジできるようにしています。

また他にも、冷凍宅配弁当を提供している企業さんにも使っていただいています。そのお弁当のコンセプトが「高タンパク質・低糖質」となっており、「ダイズライス」とマッチしていたのです。お弁当の特徴を更に際立たせる食材として、喜んで使っていただいています。

長くご利用いただいている事例はこの2つですが、この他にも取り入れていただいているお店もあり、今も多くのお店から問い合わせをいただいています。

管理栄養士やシェフ、ユーザーコミュニティを活用して共創を進めたい

――フジッコとして提供できるリソースやアセットについてもお聞かせください。

田口氏 : フジッコの社内には管理栄養士やシェフがいるので、「ダイズライス」を使って新しくメニューを開発するという話であれば、一緒に開発することが可能です。また、「ダイズライス」を提供しているブランド『Beanus』では、コミュニティサイトやSNSも運用しているので、そうしたリソースもご活用いただけます。

まだまだユーザーは少ないものの、コミュニティサイトにはヘビーユーザーの方も利用してくださっており、そのような方がたへのアプローチもできます。会員制のサイトで現在は300名くらいの方にご利用いただいていますね。

――最後にプログラムに対する意気込みをお願いします。

田口氏 : 「ダイズライス」はこれまでにない商品ということもあり、興味を持って手に取る方も多いのですが、口にした方の多くが「意外に美味しい」という意見をくださっています。お米の代わりとなる食材は多々ありますが、その中でも高い評価をいただいているので、ぜひ多くの方に手に取ってほしいと思っています。

お米の糖質を抑えてダイエットしてもいいですし、お米の糖質を減らしただけ自分の好きなものを食べてもいい。健康も大事ですが、それ以上に食事を楽しくしてくれるメリットもあるので、食事の力でお客様を幸せにしたいと思っている企業さんは、ぜひお声がけください。


KOBE OPEN INNOVATION「Flag」 10/13(木)応募締切

神戸市内企業と市内・全国のパートナー企業とのオープンイノベーションプログラム


(編集・取材:眞田幸剛、文:鈴木光平、撮影:加藤武俊)

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  • 根崎優樹

    根崎優樹

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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

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