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【特集インタビュー】コワーキングスペース「MONO」×産総研 〜革新的な事業を生み出す拠点へ〜

【特集インタビュー】コワーキングスペース「MONO」×産総研 〜革新的な事業を生み出す拠点へ〜

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ものづくりのコワーキングスペース「MONO」(https://mono.jpn.com/)は東京都江東区青海にある。周囲には、産業技術総合研究所(産総研)や地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(産技研)が立ち並ぶ。立地の良さに引かれ、事務所として利用するスタートアップも少なくないという。また、実際に産総研とは連携が進み、革新的な事業の創出も間近となっている。MONOと産総研は何を狙い、そして、どんな未来を思い描いているのか。産総研の臨海副都心センター所長・宇都氏と一般財団法人MONOの代表理事・後藤氏にお話を伺った。 ▲国立研究開発法人 産業技術総合研究所 臨海副都心センター 所長/理学博士宇都 浩三氏▲一般社団法人MONO 代表理事後藤 英逸氏

■立地の良さを活かし、オープンイノベーションを推進するMONO。

ーーMONOは単なるコワーキングスペースではなく、そこに集まる人々で構成されたコミュニティを活用した事業開発も行われていると伺いました。まずは、MONOを設立した背景や目的を教えてください。 

後藤:MONOが設立したのは、2013年3月です。当時、3Dプリンターが出始めたころで、ものづくりのあり方が大きく変わるだろうと予測されていました。これまでは大企業がオールインワンでものづくりを行うのが当たり前でしたが、今後は中小企業が集まって一つのものを作ることになるという話も出てきていたのです。これからは、まさにオープンイノベーションの時代になると考え、MONOを設立しました。

 ーーでは、MONOのテーマ・コンセプトはどのようなものでしょうか? 

後藤:名前からもわかる通り、ものづくりをサポートするコワーキングスペースですが、今は少し役割を変え、「Manufacturing / Open-innovation / Networking / Organizer」をテーマにしています。この地を選んだのは、周囲に産技研、産総研をはじめ、芝浦工業大学、武蔵野大学がある、という点がやはり大きいですね。地の利を活かし、研究機関との連携が取ることが可能です。実際、これまでに、研究機関などの協力も得ながら、自動潅水システムを搭載した緑化製品や、3Dプリンターを利用した立体的なソーセージなどが生み出されています。 ▲MONOで誕生した自動潅水システム

■研究や新技術を製品化するのが、産総研の使命

ーー産総研はMONOと連携しています。改めて、産総研について教えてください。 

宇都:産総研は、国の最大級の研究所の一つです。技術開発は行っていますが、製品そのものは作っていません。しかし、研究が閉ざされることなく、世の中の役に立つものとして使われることを目指しています。つまり、私たちには研究を世に出すためのパートナーが必要なのです。20世紀については、複数の大手企業とそれぞれに研究や技術開発を進めていました。それで十分に結果を出せていたのです。ところが、21世紀に入ると、さまざまなプレイヤーが集まり、技術と知識、アイデア、意欲を結集させながら、一つのものづくりを行う時代となりました。

 ーーまさに、オープンイノベーションの時代到来ですね。 

宇都:私たちとしても旧態依然ではダメで、企業の方に研究所まで来てもらったり、私たちが出ていき交流を深めたりすることが求められます。意欲とアイデア、光るコア技術はあるけれども、実現するためのツールや周辺技術、資本がないという企業にアドバイスを送るのが、大きな役割の一つとなっているのです。私たちの研究所には、トップクラスの技術を持つ者いれば、長年の実績とノウハウを持つ者もいます。ゆえに、起業を志す若い人たちに有益な助言を送ることが可能です。一方、意欲ある人を探し出すというのは、人的にも時間的にも、制限があり簡単にはいきません。MONOさんとの連携が非常に重要であり、貴重な機会創出の場となっているのです。

■スタートアップと国の研究機関の出会いを創出。

後藤:産総研さんからは、MONOとの連携をもっと強化したいという要望を寄せていただきました。これを受け、2016年に共同でイベントを開催したのです。 

ーー2016年9月に開催された「第7回臨海地区産学官連携フォーラム」ですね。 

宇都:そのイベントでは一つの出会いがありました。こちらにいらっしゃるCACH株式会社の代表・鈴木さんとの出会いです。防災のためのインフラ診断について技術開発を進める鈴木さんの思いを聞き、私たちが協力できることがあると思ったのです。 ▲CACH株式会社 代表取締役鈴木 良昌氏 

鈴木:私が手がけているのは「物の変形のIoT化」です。既にいろんな技術が国で作られているのですが、知らないことは多くありました。漠然とした情報はあるものの、具体的にどのような研究がどのような課題に対し行われているかまでは、把握することができなかったのです。しかも、その中で他との差別化も図らなければならず、一人でやるにはどうしても限界がありました。 

宇都:鈴木さんの場合は、意欲とアイデアとコア技術を持っていました。しかし、それだけだと製品化は難しく、また、おっしゃられているように情報の面でもまだまだ足りないところがありました。産総研にはインフラの診断技術の研究者がいるので、実際に来てもらって、ディスカッションを重ねてもらったのです。 

鈴木:日本を代表する研究機関の方からのアドバイスですので、刺激は大きく、非常に参考になりました。大きな前進があったと感じています。プロダクトローンチは2018年の頭を目指しており、今は実証実験を進めています。 

宇都:産総研としては、まだ助言の段階ですが、もう少し進めば共同で事業も進められると考えています。あるいは、スタートアップ向けの国の公的基金などを一緒に取りにいくということができるかもしれません。  後藤:MONOとしても、このような出会いをますますバックアップしていきたいと考えています。現在は海外との連携も進めており、シンガポールにはMONO事務所を開設し、中国などとは連携契約したコワーキングスペースとの相互利用が可能です。将来的にはオープンイノベーションのプラットフォームとなり、世の中に100社を送り出して2020年までにMONOを通じて誕生した通信衛星を打ち上げるのが、大きな夢ですね。 

宇都:MONOは私たちにとってなくてはならない存在だと思っています。一つでも多くの出会いが生まれることを期待しています。産総研の本部はつくば市にあり、研究拠点は、本部や私が所属している臨海副都心を含めて、全国に10カ所あります。私の役割としては、本部や全国の拠点とつながる最初のきっかけです。話が進めば直接つながり、製品化に向け随時、話を進めてもらいたいと思っています。 ▲MONOには東京湾を望む開放感のあるスペースが用意されている。▲3Dプリンターなども設置されており、利用することが可能だ。

<MONO概要> 東京都江東区青海二丁目5番10号 テレコムセンタービル東棟14階 アクセス:ゆりかもめ「テレコムセンター」駅直結 1日2時間からの利用ができる。フリースペース、会議室、カギ付き個室オフィス、シャワー室、仮眠室、礼拝堂などあり。3Dプリンター、レーザーカッター、CNCなど常設。詳しくはhttps://mono.jpn.com/ または03-6426-0955まで。

■取材後記

ものづくり、ハードウェア系の事業で、革新的な製品あるいは事業を生み出していきたいのなら、MONOは最適なスペースの一つとなるだろう。既にお伝えしたように、周囲に産総研、産技研をはじめ、芝浦工大や武蔵野大があり、非常に立地に恵まれている。今は産総研との連携を深めているが、今後は他の研究機関とも連携を強化することを計画しているという。もちろん、スタートアップ企業や起業家自らが、訪ねていってもいいはずだ。MONOは3Dプリンターを常備するなど、設備面でも充実している。 また、余談になるかもしれないが、眼下に東京湾を見渡せる空間で、ほっと一息つきながら、未来に思いを馳せることもできるだろう。利用に際し、まだ十分な余裕があるというから、少しでも興味を持ったのなら、一度足を運んでみたらいかがだろうか。きっと気に入るはずだ。 

(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:佐々木智雅)


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