8月27日、京浜急行電鉄(以下、京急)とサムライインキュベートが主催するアクセラレータープログラム「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」の進捗や成果を発表するDEMODAYが開催された。

「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」は、京急グループの持つ多様な事業基盤を活用し、スタートアップのプロダクトやサービスの社会実装を推進し、事業共創を目指すプログラムだ。第2期となる今回は「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出 〜テクノロジーとリアルの融合による地域連携型MaaSの実現〜」というテーマを掲げ、100社を超えるエントリーから「新しい移動手段」「移動先をより快適にするサービス」の創出に挑むスタートアップ5社(ecbo/NearMe/Nature Innovation Group/tripla/AirX)が採択され、約5カ月間にわたって京急グループ各社と実証実験を進めてきた。

会場となった東京・品川の「SHINAGAWA GOOS」には、大手企業の新規事業担当者やオープンイノベーション担当者、ベンチャーキャピタル、メディア関係者など、多くの来場者が集まり賑わいを見せた。この5カ月間の共創により、採択企業5社のビジネスやサービスはいかなる進化を遂げたのか? プレゼンテーションの結果、どのスタートアップが社長賞、オーディエンス賞に輝いたのか?――採択企業5社によるプレゼンテーションや当日の模様についてレポートする。


オープニングイベント、第1部として様々なコンテンツが展開

本DEMO DAYは、2日間にわたって開催された「KEIKYU OPEN INNOVATION DAY 2019」のメインイベントとして開催された。8月26日夜には、オープニングイベントとして、7月に開設されたオープンイノベーション拠点「AND ON SHINAGAWA」のキックオフイベントとなる「モビリティ・スタートアップピッチ」が行われた。MaaS領域に関わるスタートアップ6社が登壇し、懇親会では、来場者と熱い議論が交わされた。

27日午前には、「第1部」のコンテンツとして、”「モビリティ×ライフスタイル」の未来像とその実現に向けたエコシステム形成”をテーマにしたパネルディスカッションや、”イスラエル・アフリカ・中国のモビリティイノベーション最新動向”と題したスペシャルセッションを開催。AND ON SHINAGAWAのパートナーとなる日本航空株式会社や富士通株式会社のオープンイノベーション担当者、サムライインキュベートのイスラエル投資担当者などが登壇し、多くの来場者がその内容に耳を傾けた。


京急とスタートアップの密度の濃い連携によって、各社のビジネスが大きく進化

メインコンテンツとなるDEMO DAYでは、採択スタートアップ5社のピッチに先立ち、外部審査員による基調講演が行われた。内閣府 政策統括官付 イノベーション創出環境担当 企画官の石井芳明氏は、日本におけるオープンイノベーションの現状と課題について提言するとともに、政府が主催する「日本オープンイノベーション大賞」の取り組みについて紹介。受賞プロジェクトの共通点を例示しつつ、大企業とスタートアップによる連携を成功させるポイントについて紹介した。

MaaSの社会実装を目指した多様なプロジェクトを推進する株式会社MaaS Tech Japanの代表であり、MaaS研究の第一人者でもある日高洋祐氏はMaaSの基本概念に加え、世界各国や日本国内で実装されているモビリティとフィールドを組み合わせた先進的なソリューションについて紹介した。加えて、京急が持つ鉄道というモビリティ、空港・工業地帯・住宅といったフィールドのリソースに触れ、「MaaSを多様な業態と組み合わせるべく、スタートアップとともにアイデアを出し、新しいライフスタイルを提案していく取り組みには大きな価値がある。当社としても幅広くサポートしていきたい」と語った。

続いて京急でプログラムの運営を行う橋本雄太氏が登壇し、京急のオープンイノベーション戦略や今回のプログラムで掲げた「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」というビジョンに込めた思い、プログラムの進捗概要などについて説明。

5社との事業共創にあたっては京急グループの10部門以上が関わっていることや、リアルでのミーティングや打ち合わせのほかにスタートアップとのコミュニケーションで使用した『Slack』でのやりとりが5000件を超えていることなどを例に挙げ、「京急とスタートアップの非常に密度の濃い連携によって、各社のビジネスが大きく進化していることに注目してほしい」と結んだ。


スタートアップ・ピッチ/採択企業5社による事業共創の進捗と今後

基調講演に続き、今回のDEMODAYのメインプログラムとなる採択企業による5カ月間の進捗や成果を発表するプレゼンテーションが行われた。「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」の第2期に採択されたスタートアップは、ecbo株式会社、株式会社NearMe、株式会社Nature Innovation Group、tripla株式会社、株式会社AirXの5社。各社のプレゼン後には、ともに事業共創を推進した京急グループ各部門の担当者・関係者の登壇時間も設けられた。


■ecbo株式会社

登壇者:執行役員 猪瀬雅寛氏

ecbo株式会社が展開する『ecbo cloak (エクボクローク)』は、スマホ予約で店舗の空きスペースに荷物を預けることができる荷物一時預かりシェアリングサービスだ。1日に17.6万人いるとされるコインロッカー難民や、荷物を持つことで生まれる移動の不自由さの解決を目指しており、2017年に渋谷を中心とした都内の100店舗からサービスをスタートしてから約2年間で全国47都道府県を制覇。荷物の預け先は1000店舗以上にまで拡大している。

今回のプログラムでは、京急沿線での『ecbo cloak』を活用した荷物預かり実施による「手ぶら観光」の提供を通じて、鉄道の混雑緩和を図り、移動体験を向上させるという方向性での事業共創を展開。わずか4カ月強の実証実験期間にも関わらず、京急沿線で京急品川駅のコインロッカー数の約50倍に相当する約3000個以上の荷物預かりを実現した。

また、同社は実験期間中に、『ecbo cloak』による荷物預かりサービスに加え、預けた荷物をさらに指定の場所へ手軽に配送するテストマーケティングを実施したと発表。送り先の伝票記入や受取場所の確認など、アナログで煩雑な手続きが残っている荷物配送を、ボタン一つで簡単に行えるという同サービスの検証を羽田空港国際線ターミナル駅で行ったところ、従来30分かかっていた手続きを40秒に短縮し、当日配送まで完了できたという成果を報告。猪瀬氏は「今後も各エリアで配送実験を重ねながら、社会実装を目指したい」と力強く語った。

猪瀬氏のピッチを受け、ともに実証実験を推進した京急 鉄道本部 運輸営業部の岩田氏は「来年のオリンピック・パラリンピックでは外国人のお客さまも増え、車両のさらなる混雑が予想される。ecboの荷物預かりや配送サービスにより、1件でも多くの手荷物を預かることで車内の混雑緩和やサービス向上につなげていきたい」と期待を寄せた。


■株式会社NearMe

登壇者:代表取締役社長 髙原幸一郎氏

タクシーで同じ方向に行きたい人同士をつなげる相乗りマッチングサービス『nearMe.』を提供している同社は、今回の京急との共創で「人のラストワンマイル」の移動問題を解決するオンデマンド・移動サービスを実現し、京急沿線に新たな移動手段を創出するというゴールを設定。京急グループ戦略室や京急タクシー、京急イーエックスインなど、さまざまな事業部門と協議を重ね、最大9人乗りのスマートシャトルを活用した新しい移動サービスの実証実験を行った。

実験では、京急グループの4つのホテルのユーザーがQRコードによるエントリーシステムを使い、明日訪れたい場所と希望到着時間を登録。複数ユーザーの登録内容と最適なルートを同社が開発したAIで分析し、ホテルへの配送予定時刻やスポットへの到着時刻をユーザーにフィードバックして、翌日にスマートシャトルによるピックアップと送迎を行った。複数のユーザーが相乗りするため、さまざまなスポットを経由するものの、ホテルの前で決まった時間に待っていれば、安価な価格で行きたい場所へ行きたい時間に到着できることが同サービスの最大のメリットだ。まさに「人のラストワンマイル」の移動問題を解決するソリューションと言えるだろう。

1週間の実証実験の結果、ユーザーの96%が満足したと答えているほか、高原氏は「足を怪我していて移動が大変だったが、このサービスがあってとても助かったという声もいただいた。ユーザーの声が励みになった」と実験結果に対する満足感を滲ませた。すでにホステルとの間で空港送迎サービスの協業がスタートしているほか、「最終的には京急全線にサービスを展開し、地域活性化につなげていきたい」と意気込みを語った。

京急 グループ戦略室の多田氏は「タクシーは便利なものの価格が高いので気軽に利用しづらいという面がありますが、NearMeさんの相乗りを遣えば乗客一人当たりの代金を下げることができます。また、近く、法律が改正されて相乗りが完全に認められるようになることが予想されるので、速やかに対応できるように実証実験の成果を活用し、さらなるサービス改善に努めていきたいと考えています」と述べ、同社との実証実験成果をアピールした。


■株式会社Nature Innovation Group

登壇者:代表取締役 丸川照司氏

「突然の雨で移動できなくなる人は1日に約100万人。そのうち約15万人が仕方なくビニール傘を買っている。地球環境にも良くないし、こうした現状を変えていきたい」と語った丸川氏が代表を務める株式会社Nature Innovation Groupは、日本初の傘のシェアリングサービス『アイカサ』を展開している。1日わずか70円で傘を借りられることもあり、サービス開始以来ユーザー数は着実に増え続けているという。

今回のプログラムでは京急とともに、傘を持たない世界の実現による移動体験の向上、雨天時の新しい需要を創出する雨の日のプラットフォーム構築を目指した。プログラム期間中の実証実験では、品川近辺に11箇所の『アイカサ』スポットを設置したほか、京急百貨店が運営するウイング高輪クーポンとの連携、京急プレミアムポイントとの連携、さらには利用者データの収集と分析、利用者アンケートの実施等を行った。

品川エリアでは7月の1カ月間の利用者数が、以前から設置していた渋谷を上回る133%を記録したほか、利用者へのアンケートやデータ分析によれば、『アイカサ』と各種クーポンとの連携は、雨の日の店舗への集客導線形成、購買促進施策としても有効であったとの検証結果も得られたという。今後はさらにユーザー数を拡大していくことにより、雨の日の人の動きをデータで可視化し、沿線利用者のニーズを把握することで新サービスの開発にもつなげていくとのことだ。

丸川氏は「今回の実証実験の規模を100倍に拡大していくことで月間10万を超える人々の雨の日の移動を快適にし、便利な沿線を作っていきたい」とこれからのビジョンを語った。京急 グループ戦略室の小野氏は「今後、サービスの認知が広まっていけば、今回ポイント連携した効果がさらに高まり、お客さまにとっても非常に便利なものになるはず。ぜひ『アイカサ』に頑張ってほしい」とエールを送った。


■tripla株式会社

登壇者:代表取締役 CEO 高橋和久氏

tripla株式会社は5つの言語で旅行者の問い合わせに対応するAIチャットボットサービスを展開している。すでに同社のサービスはホテルやレストラン、鉄道、レンタカー会社など500以上の施設に導入されており、AIの自動回答率は90%以上を記録(AIが回答できない場合のオペレーターサービスも付属)、60%以上のメールの問い合わせ、40%以上の電話応対削減に貢献しているという。

京急との事業共創では、宿泊施設への予約機能実装によるオペレーションコストの削減と、バスやタクシーなど移動手段との連携によるワンストップサービスの実現を追求。京急イーエックスイン ホテルグループと連携し、同社の『tripla チャットボット』、さらにはページ遷移することなく自社HP内で予約を完結できる『tripla ホテルブッキング』に関する実証実験を行った。『tripla チャットボット』に関しては、1カ月で15の施設に導入し、3000人以上のユーザーからの問い合わせを受け、そのうち83%はAIによる自動回答に成功。高橋氏も「羽田空港からホテルへのアクセス方法の問い合わせに関しては、京急線の乗り換え方や京急バスの案内をしていくことで、ホテルとモビリティのワンストップサービスに貢献できたと思う」と実験の成果を強調した。また、京急イーエックスイン2施設 に導入された『tripla ホテルブッキング』は1カ月で300件以上の予約に対応したほか、各店で8.6%、3.8 %という高い予約コンバージョンを達成している(業界平均は2.2%)。

高橋氏は「チャットボットに関しては引き続きAIの自動回答比率を上げていきながら、データを参照してCRMやCS向上につなげていく。ホテルブッキングに関しては京急イーエックスインの方々からいただいたフィードバックを参考に、さらなる導入施設の拡大を討議していきたい」と今後の目標を語った。ともに実証実験を進めた京急イーエックスイン チェーン事業部の五味氏は、「当社の宿泊予約もOTA(Online Travel Agent)からの割合が高く、OTAに支払っている手数料もかなりの金額となっている。今回のtriplaとの実証実験で、自社サイト経由の予約率向上を目指したい」とサービスへの期待を語った。


■株式会社AirX 

登壇者:代表取締役 CEO 手塚究氏

国内初の航空機手配オンデマンドシステムで、空の交通を最適化するサービスを展開している株式会社AirXは、将来的な「空の移動革命」を見据え、京急とともに新たな次世代交通網の創出を目指して事業共創を進めている。現状はヘリコプターを使用したサービスを提供しているが、新たな航空機の登場も見据えつつ、三浦半島エリアへのヘリコプター送迎、ヘリコプタークルージングプランの企画、告知用Webサイトの開発を計画中だ。また、同プロジェクトには京急の三浦半島事業開発部に加え、神奈川県、横須賀市も加わっており、地域住民との協議を重ねながら飛行ルートや離発着ポイントの候補地調整を進めている。

時速200〜300キロで飛行するヘリコプターを使って品川から移動する場合、横浜まで10分、さらに10分飛べば三浦半島各エリアの上空に到達するということで、電車やバスと比べても移動スピードは格段に早い。また、手塚氏は将来的にはタクシーやハイヤーと同じぐらいの値段で提供できるようにしたい」とビジョンを示した。さらには、単なるモビリティ提供だけではなく、海や漁港、京急が運営するホテル、さまざまな観光地、アクティビティなどと連携し、三浦半島を一つの観光コンテンツとして活性化していくことで、京急との事業シナジーを生み出していきたいと説明した。

今後のアウトプットイメージとしては、年末から年明けにかけて実証実験を行う予定であるとし、将来的には三浦半島と都心部の新たな移動プラットフォームを開発することで、「誰もが、住む場所、働く場所、遊ぶ場所を拡大していける世界を実現したい」と意欲を語った。

同社とともに事業共創を進めている京急 三浦半島事業開発部の渋谷氏は、「三浦半島には多くの観光資源があるにも関わらず、活かしきれていないという課題がある。都心から20分程度で三浦半島に来ていただける方を増やし、これまで以上に多くの方に三浦半島の観光、アクティビティを長時間楽しんでいただけるよう、AirXさんと協力して事業を進めていきたい」と今後の展望を述べた。


受賞結果〜オーディエンス賞は「NearMe」、社長賞に輝いたのは「ecbo」!

来場者による投票でオーディエンス賞に選ばれたのは、スマートシャトルを活用した新しい移動サービスの実証実験を行った株式会社NearMeだ。同社の髙原氏は「オーディエンス賞ということで、さまざまな視点を持った方に選んでいただけたことは非常に嬉しく思う。今回の受賞を励みとして、今後も京急との取り組みを深めていきたい」と決意を述べた。

京急経営陣と外部審査員の審査を経て社長賞に輝いたのは、荷物預かりや配送の課題に果敢に挑んだecbo株式会社となった。

同社の猪瀬氏は受賞をうけ、「アクセラレータープログラムを通じ、これからも京急と一緒に長期的な視点で事業を作っていけるという確信を持った。今回発表したものは、あくまでも実証実験、テストマーケティングに過ぎないので、今後の社会実装によって持続可能なサービスをつくっていきたい」と力強く宣言した。


審査員講評と主催者挨拶

各賞発表の後、インキュベートファンド 代表パートナーの村田祐介氏、内閣府 政策統括官付 イノベーション創出環境担当 企画官の石井芳明氏が審査の講評を述べた。

村田氏は「今回の5社はいずれも、この5カ月間で大きく成長した。中にはユーザーが20、30倍になった会社もあるし、資金調達が決まっている会社もあるなど、京急と一緒に取り組んだことによる成長が見える」と絶賛。石井氏は「京急グループの皆さんがスタートアップと一緒に登壇されていたのが印象的だった。京急とスタートアップが一緒になって事業を作り、新しい価値を生み出したという意味でも、非常に意義深いプログラムだった」と感想を述べた。

続いてDEMODAYの最後を締めくくるべく、サムライインキュベートの代表取締役 榊原健太郎氏、京急の取締役社長社長執行役員の原田一之氏が主催者挨拶を述べた。榊原氏は「今回のDEMODAYは、各社との共創がしっかり進んでいたからこそデモというよりも実証実験や、社会実装勝負だったように思う。社長賞を受賞したecboも結果をしっかり出していた。大企業とスタートアップが組むことがようやく一般的になってきたので、より社会実装することを求めていくと同時に、今後は大企業単独でもイノベーションを起こすような流れも期待したい」と語った。

原田氏は「5社の取り組みはいずれも素晴らしく、審査中にもさまざまな議論があった。最終的にはecboが社長賞となったが、それぞれが非常に面白く興味深い提案だったので、数年後には5社すべての取り組みが社会実装されていることを期待している。京急としてもしっかり応援を続けていきたい」といエールを送った。


取材後記

「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」の大きな特徴は、京急の主力事業である鉄道事業にとどまらず、バス、タクシー、不動産開発やホテル、スーパー、百貨店など、スタートアップの持つサービスやテクノロジーの特徴に合わせて、京急グループのさまざまな部門が事業共創に関わっていることが挙げられるだろう。スタートアップ側からすれば、幅広い可能性の中でビジネス拡大を期待でき、京急グループとしても社内外各所で生まれる多様なシナジーによって、単純な「オープンイノベーションによる新規事業創出」に留まらない良質な刺激を得ているようだ。京急の原田社長も「各部門がスタートアップと共創することによって、事業のスピード感を含めてさまざまな良い刺激を受けている。新しい時代のために、私たちはもっと勉強していかなければならないし、もっと刺激を与えて欲しいと思っている」と語っていた。

もちろん、すべての共創がまったく別の目的を志向しても意味がない。今回の5社の取り組みの中心には、いずれも「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」というビジョンが宿っていた。京急と採択企業5社のプロジェクトは、これからの京急沿線地域、さらには日本、そして世界の移動にどのような影響を与えていくのだろうか。今後も引き続き注目していきたい。

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤直己)