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【アクセラレータプログラム第6期スタート】 富士通アクセラレータプログラム運営責任者である、富士通株式会社執行役員・山田厳英氏に、eiicon・タモツが直撃インタビュー!

これまで5回実施された富士通のアクセラレータプログラム。数々のスタートアップが参加しており、これまでに協業検討は70社越え、協業実績は約40社という数値を残しています。現在、多くの大企業がアクセラレータプログラムを開催し、スタートアップなどのパートナーと共創に取り組んでいるものの、なかなか実績が出ないという声も聞かれます。そうした中、富士通のアクセラレータプログラムは継続性や実績においても国内トップクラスと言えるでしょう。

現在は、第6期のアクセラレータプログラムをスタートさせている富士通。同社では、経営陣も積極的にこの取り組みにコミットしている点が大きな特徴です。そこで今回、富士通アクセラレータプログラム運営責任者である山田氏に取材を敢行。学生時代にはハエの研究をしていたという、eiiconきっての理系女子である保(タモツ)がインタビュアーとなり、山田氏に経営視点から富士通の共創について伺いました。

【写真左】 富士通株式会社 執行役員 グローバルマーケティンググループ長 兼 マーケティング戦略本部長 兼 東京オリンピック・パラリンピック推進本部 副本部長 山田厳英氏

富士通入社後、システムエンジニアや営業を経験した後、北海道、九州の支社長を務め、2017年からマーケティングの責任者として、富士通のスタートアップ協業を牽引している。

【写真右】 eiicon 保美和子

神戸大学大学院理学研究科にて、ハエをモデルに摂食に関わる分子機構と神経基盤を研究。2017年にパーソルキャリア株式会社に新卒入社後、eiicon companyに配属。企画・営業を担当している。


「ICT箱罠」など新規事業を手がけた経験を持つ山田氏。

eiicon・タモツ : まず始めに、山田さんのプロフィールをお伺いしたいと思っています。お聞きしたところによると、富士通にご入社されてからシステムエンジニアとしてキャリアをスタートしたとか。

富士通・山田氏 : そうですね。まずはシステムエンジニアを3年くらい経験して、次は営業に。そして、北海道や九州といった地方拠点で、新ビジネスイノベーションセンターというものの立ち上げに関わり、色んな会社さんと共同で事業開発に着手していました。

eiicon・タモツ : 例えばどのような事業を?

富士通・山田氏 : 九州にいた頃は、鳥獣被害対策として、イノシシを確保する箱罠の開発をしたこともありますよ。子どものイノシシを捕獲してしまわないように、大きな個体を認識できるカメラを取り付け、ワイヤレスで操作できるようにした「ICT箱罠」です。

eiicon・タモツ : 「ICT箱罠」!?富士通さんは、鳥獣被害対策に関わる事業にも着手されていたんですね。知らなかったです…。

富士通・山田氏 : うちはPRが下手で(笑)。「ICT箱罠」は、富士通の技術だけではできないので、不足している技術・ノウハウは他社と連携しました。そういう意味でいうと、すでに共創に取り組んでいましたね。そのような経験を経て、2017年からマーケティング部門に移り、アクセラレータプログラムを担当させてもらっています。


「Co-creation」を推進していく。

eiicon・タモツ : 富士通さんは「スタートアップから選ばれる会社」ランキングで4位(※)と、上位にランキングされていました。改めてですが、なぜ富士通さんはスタートアップとの共創に注力をしているのでしょうか?

※日経電子版(2018年3月8日)より。本調査は日本のベンチャー企業218社からの投票によって実施された。

富士通・山田氏 : 富士通は1935年に創業して以来、ものづくりやテクノロジーで、お客様の要望にお応えしてきました。お客様とのお付き合いは長く深く、数年の年月をかけるプロジェクトも珍しくありません。しかし昨今、先端のデジタルテクノロジーを取り入れ、スピーディーに成果を出すことが重要視されてきています。そのためには、富士通単体のテクノロジーだけではなく、他社のテクノロジーとの組み合わせや掛け算によって、最適なソリューションをお客様に提供していく必要があります。

eiicon・タモツ : なるほど、そうした市場感の中で富士通さんが発信しているのが「Co-creation」というメッセージなんですね!

富士通・山田氏 : その通りです。例えば、ここ最近では、カナダのスタートアップ「1QBit」(1QB Information Technologies Inc.)との共創が5月からスタートしています。当社は約20年前から量子コンピューティングの技術を研究しており、現在は「デジタルアニーラ」として市場に提供しています。「1QBit」との共創によって、「デジタルアニーラ」を進化させることができました。お客様へのサービス提供時間をグンと早めることが可能になったのです。

eiicon・タモツ : それはすごい!

富士通・山田氏 : 「デジタルアニーラ」を使った社内実践にも取り組んでいて、物流部門に導入したところ約40%のルート短縮を実現したそうです。その他にも医療分野でも活用されており、放射線治療の工程を短縮させることも実現しました。「1Qbit」との共創は一例ではありますが、社外の共創パートナーとの取り組みが、点から線になり、面になり、それが立体的なものになるために、3年間アクセラレータプログラムを継続させています。プログラムを通しての協業検討は70社以上、そのうち約40件の協業実績が出ています。


ブームは追うものではなく、つくるもの。

eiicon・タモツ : プログラムは、2018年で6期目を迎えますね。具体的には、どのようなスタートアップと組みたいとお考えでしょうか。

富士通・山田氏 : サービスオリエンテッドカンパニーを目指す富士通では、デジタルビジネスを推進しているスタートアップと共創していきたいと思います。具体的に言えば、AIやIoT、セキュリティ、クラウド、データ利活用、ブロックチェーン、ロボティクスといった技術領域に強みを持ったスタートアップです。その他、ヘルスケアや働き方改革、社会インフラ基盤/地域課題解決などでのイノベーションをおこしたいと考えているスタートアップも歓迎しています。

特に、社会インフラ基盤に関しては、50年前の東京オリンピックで整備されたものが多く残っています。その劣化を防ぎ、スタートアップのみなさんと新しい社会インフラ基盤を構築することは当社としても挑戦したい領域です。

eiicon・タモツ : これまでのプログラムで印象的だった共創事例はありますか?

富士通・山田氏 : 感情認識ロボットの「ユニボ」や、文字を読むことが困難な人のためにデザインされた「スマートグラス「OTON GLASS」、自動ネイルプリントサービス「INAIL」といったものは、印象に残っていますね。スタートアップのみなさんに共通しているのは、改善・改良のスピード。アドバイスをすぐに取り入れ、プロダクトを進化させるスピードは勉強になりますね。

eiicon・タモツ : 山田さんご自身も、スタートアップのみなさんとの接点はあるのでしょうか?

富士通・山田氏 : ピッチコンテストなどには積極的に出るようにしていますので、接点は多いですよ。スタートアップのみなさんとビジネスの会話をするのは大好きですね。また、私はシリコンバレーに当社が開設した「オープンイノベーションゲートウェイ」の運営もしていますので、アメリカなど国外のスタートアップのみなさんとの接点もあります。さらに、シリコンバレーだけではなく、ニューヨークや「1QBiT」のあるカナダなど、国外のさまざまなスタートアップとお話しする機会もあり、面白いですね。

私のことばかりお話ししてしまいましたが(笑)、アクセラレータプログラム専任のサポートチームのメンバーたちも経験は豊富です。事業化に本気の事業部と社内調整をしながら、スタートアップのみなさんの良き伴走者として常に寄りそっていきますので、安心してプログラムに応募してほしいですね。

eiicon・タモツ : サポートチームの方々とお話しする機会もありますが、確かにみなさん経験も知識も豊富ですよね。今度はサポートチームのみなさんにも取材してみたいです(笑)。それでは最後に、共創パートナーとなるスタートアップのみなさんに対してメッセージをお願いします。

富士通・山田氏 : 今期、富士通は「Co-creation for Success!」というマーケティングメッセージを打ち出していますが、共創から一歩踏み込んで、ビジネスの成功事例を生み出していきたいですね。「ブームは追うものではなく、つくるもの」だと思っています。一緒に成功の種を植え、育て、刈り取って、ブームと呼べる現象を生み出していきましょう。

◆富士通アクセラレータプログラムの詳細は、こちらからご覧ください。

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:古林洋平)