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【連載/4コマ漫画コラム(30)】イノベーターなら知っておきたい日本企業と海外企業の違い② ~決めたらやる&ダメはダメ@シリコンバレー~


Disagree & Commit

「海外と日本の違い」ということで、前回はシリコンバレーを取り上げたので、今回は別の国にしようかと思ったのですが、私のサラリーマン時代に大きな影響を与えたシリコンバレーのお話しを今回もすることにしちゃいましたのでお付き合いください。

漫画に書いた「Disagree & Commit」はアメリカにおけるマネージメントの歴史の中で結構有名な言葉です(詳細はネットで調べてね)。

議論をするときは、上司も部下もなく、フラットにストレートに反対意見(Disagree)をどんどんぶつけ合うけれど、この世の中に正解はないので、十分意見が出たと思ったら、いくつもの選択肢の中からリーダーが「決める」。それがリーダーの役割であり、一旦リーダーが決めたことにメンバーは従って動く(Commit)。それが「Disagree & Commit」です。

対して、日本でありがちなのが、上司が一人で喋って、メンバーはそれを聞いているだけで、反対もせず、会議は終了。一応、上司が結論らしきことを言っても、会議が終われば、会議室を出た部下は会議が終わったことにホッとしているだけで、結局何もしない。そうやって部下が自分の結論に従って動かなくても、上司はそれを放置している・・・こういう不幸な(いや、幸せかな)バランスのうちに日々が過ぎていく。こんな感じになっていませんか?


阿吽では無理

もちろん、「Disagree & Commit」という言葉がアメリカで言われているということは、裏返せば、アメリカでも、そういう風にできていないことが多かったということでしょうが、シリコンバレーだと、かなりちゃんとやられていると感じます。

おそらく、シリコンバレーの「スピード」と「多様性」が「Disagree & Commit」方式を必要としているのでしょう。
ありとあらゆるコトがすごいスピードで動いているシリコンバレーにおいては、ゆるゆると日々を過ごしているヒマはありません。チームとして速いスピードで動き続けるためには、「では、こうしてみよう」という「チームとしての結論」をリーダーが決めて、メンバーがそれに従って動き、ダメだったら、また議論する・・・というサイクルを素早く回していかなければなりません。そして、「次にどうすればいいか」は、できるだけ多くの選択肢をまな板の上に並べた上で、選んでいかないと、「あの時は思いつかなかった」というようなことが起こる恐れがあるので、メンバーの全員が「吐き出すように意見を言ってくれる場」が必要となります。

そして、「ファーストネームで呼び合う」ことが「Disagree」にとても向いている。「社長」「部長」とか肩書で人を呼ぶ世界ではフラットな雰囲気での「Disagree」は生まれにくい。また、英語には殆ど「尊敬語」や「謙譲語」がない。これも「Disagree」をどんどんやれるベースになっています。いちいち「言い方」を考えているようでは、本質的な「Disagree議論」ができません。元々、シリコンバレーは、英語ネイティブでない人たちが山ほどいる世界です。だから、「多少失礼でも問題にならない」という「多様性」から生まれる「Disagreeがしやすい文化」が根付いています。

そして、その「多様性」があるからこそ、「はっきりストレートに反対意見を述べて」「リーダーははっきり結論を出して」「メンバーはそれに従って動く」ことが必要となります。各メンバーの文化や考え方がバラバラなので、阿吽の呼吸や空気の共有では動けないからです。

もし、メンバーがリーダーが決めたことに従わなかったら、どうなるのか。簡単です。クビです。はっきりしていますよね。うじうじと上司や部下の文句を陰で言うヒマはありません。

ある意味、「決めたら、やる」という単純なことで、だからこそ「決める前に思いっきり反対意見をぶつけよう」ということを大事にしているのです。


「ダメはダメ」の当たり前

ちょっと似たようなことに「ルール」に対しての「日本とアメリカの違い」があります。

アメリカの「ルール」は厳格です。「信号が赤になっても2,3台は行っても大丈夫」という日本とは違います。赤は赤。ルールはルール。1秒でも赤になってから交差点に入ってしまうと、すぐ捕まります。「ダメはダメ」なのです。ただ、その分、「どうでもいいこと」はルールや禁止事項にしない。日本では(特に、日本の会社では)、やたら細かいルールや規制が一杯あることが多いです。しかし、実は守らなくても問題はない、ということも多い。

変な例ですが、掃除中のトイレの入り口に「清掃中/ご遠慮ください」と書いてある看板が置かれていても、「いいですか?」と聞くと掃除をしている人が「どうぞ」と言う。アメリカでは、清掃中の看板には「滑りやすいので注意」と書いてあるだけです。日本のように「同じような人たちの塊」の国は、「複雑で長い歴史に培われた他の人たちには分からないこと」があっても、それがむしろ潤滑剤になって回っている。しかし、多様性が大きいシリコンバレーではそうはいかない。「ダメはダメ」だけど「ダメでなければダメと言わない」です。(当たり前だなあ・・・と改めて思います)


磨かれちゃって

私は新入社員のころに、会議でよく先輩の言うことに反対意見を述べていました。そうすると、会議が終わってから部長クラスの人が寄ってきて、「先輩を立てろ」と何度か怒られました。(怒られても別に悪いコトをしているわけではなかったので、変えませんでしたが)。

そういう私にとっては、シリコンバレーでの議論と仕事の進め方は、本当に気持ちいいものでした。

そして、シリコンバレー駐在で磨きがかかり、日本に帰国した後は、沢山の日本的な方々から余計に嫌がられるようになりましたが(^o^;)。


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

瀬川秀樹先生連載/4コマ漫画コラム