戦略策定~オープンディスカッションのサマリ
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マッチング段階では技術・人材面で事業会社の要求水準に達していない研究開発型ベン チャー企業が多い一方、外部の支援を得ながら高めていくことが重要
先行企業は、技術・人材のギャップを克服するため、事業会社が研究開発型ベンチャー 企業を育成するアクセラレーションプログラムやベンチャーファンドを活用
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多くの事業会社は研究開発型ベンチャー企業と事業や研究開発の領域が重複しており、 外部リソースの活用について社内からの抵抗を受けやすい
自前主義に陥らずに社外連携を促進するために、先行企業は、定量的な目標・指標や インセンティブを設定
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事業会社が研究開発型ベンチャー企業との連携を具体化させるためには、連携すべき領域 を明確化することが重要
連携領域を定めるための方法として、先行企業は、現場で実行できる段階まで領域を 詳細化、自社よりも外部が強みを持つ領域を明確化、連携の専門組織が社内で 一貫した発信を実施
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研究開発型ベンチャー企業は、中長期的な事業展開を見据えて連携すべき事業会社を選別 することが重要
先行企業は、将来的な事業展開を阻害しないように、領域を切り分けて事業会社と連携
社外連携に関する目標やインセンティブを設定するためのポイント
米系事業会社A社の取組
先行企業の取組事例
- A社は、CVCの社外連携のプロジェクト責任者の指標(KPI)として、A社及び関連会社との連携による成果を設定
- CVCの投資資金の一部を、自社の連携担当部門(受け入れ先)が連携プロジェクトのために活用可能とすることで、資金リスクを軽減
A社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)は、A社及び関連企業との連携による事業シナジー創出に繋がるベンチャー企業に出資
- 目標・指標・インセンティブ設定
- 取組内容
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- A社が設置したCVCでは、プロジェクト責任者に対して、ファイナンシャルリターン(投資先株式の売却益等の財務的成果)に加え、A社及び関連企業との連携によるストラテジックリターン(新規事業創出等の事業上の成果)もKPIとして設定
- 同責任者は、CVCが主催し、ポートフォリオ企業等1,000人規模が参加するイベント等を通じて、A社事業部門及び関連会社とのマッチングに注力
- ポイント
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- 自前主義を乗り越えて社外連携を推進するために、プロジェクト責任者のオープンイノベーション活動を促進するKPIを設定
- 予算・権限付与
- 取組内容
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- CVCの投資資金の一部を事業部門等のベンチャー企業との連携先となる部門(受け入れ先)が、連携プロジェクトの実施のために活用できることで、資金リスクを負うことなく連携が可能
- ポイント
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- 受け入れ先のリスク負担を除去/軽減しておくことが連携の促進に有効
P&Gの売上高推移
先行企業の取組事例
- P&Gは、従来の自前型R&D戦略を見直し「研究開発やイノベーションのアイデアの50%は社外から調達する」ことを2000年に宣言した結果、研究開発費を維持しつつ、ベンチャー企業とも連携しながら、売上倍増を達成
- 【参考】アンケート結果
- 研究開発型ベンチャー企業との連携検討経験のある事業会社のうち、社外連携に関する目標・指標(含む参考指標)を設定している割合は18%にとどまるが、それらの企業の研究開発型ベンチャー企業との連携数は設定していない企業の2.8倍