契約交渉のサマリ
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連携を具体化するためには、目的に合致した契約の締結が必要
契約書作成・交渉には、条件規定書(タームシート)を活用して契約の要点を先に合意 する方法と、
契約書ひな形をベースに進める方法が存在し、特に前者は新規の連携先 との連携において有効 -
いずれのケースにおいても、初期段階から社内外の専門家を活用することが重要
事業会社においては、ベンチャー企業との契約に慣れている法務担当者に相談するこ とでスピードアップできることも
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研究開発型ベンチャー企業は、短期的な資金獲得だけでなく、中長期的に見据え、事業会社 との間で対等かつWin-Winの関係を構築することが重要
先行企業は、依存関係に繋がる資金の受け入れの回避や、自社に不利な条件に 対してバランスを取るための条項を盛り込むための交渉を実施
短期資金獲得だけでなく将来の事業化を見据えた権利交渉のポイント
日系ベンチャー企業の取組
先行企業の取組事例
- 先行企業は、自社技術の非代替性を活用し、後々の知財交渉で不利に繋がる可能性のある資金の受け入れ(依存関係の発生)を避けることで、事業会社との対等かつWin-Winな関係を構築
- 相手方に有利な条件を受け入れざるを得ない場合でも、バランスを取るための条件を組み込むなど、戦略的に交渉
- 事例A
- 連帯の枠組み
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- ベンチャー企業A社と事業会社V社・X社との三者間で、共同研究開発契約を締結
- 取組内容
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- 連携の成果である知的財産権は各社貢献度に応じて分配
- 研究開発費は各社持ち出しで実施
- 共同研究開発とは独立した形の出資に加え、設備や人材面では支援を受け入れ
- ポイント
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基盤としての保有技術の非代替性
- 後々の知財交渉での不利に繋がる可能性のある資金の受け入れを回避
- 事例B
- 連帯の枠組み
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- ベンチャー企業B社と事業会社Y社の間で、5年間の業務委託(役務提供)契約を締結
- 取組内容
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- Y社への独占的発注を受け入れる代わりに、特別価格とともに成果報酬型の支払スキームを適用
- 上記契約とは独立して資本提携を実施
- ポイント
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基盤としての保有技術の非代替性
- B社に不利な契約条件を受け入れることと引き換えに、有利な条件の組み込みを交渉する形でバランスを確保
- 事例C
- 連帯の枠組み
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- ベンチャー企業C社と事業会社Z社の間で、C社製品の販売に関する契約を締結
- 取組内容
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- Z社に独占販売権を与えることと引き換えに、最低購入量を設定
- 上記契約とは独立して資本提携を実施
- ポイント
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基盤としての保有技術の非代替性
- C社に不利な契約条件を受け入れることと引き換えに、有利な条件の組み込みを交渉する形でバランスを確保