契約開始~次フェーズの意思決定のサマリ
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契約交渉を乗り切り、無事に連携プロジェクトを開始したものの、当初立案した仮説が検証 されないままに継続されてしまうことを回避することが重要
先行企業は、試作品段階で顧客/ユーザーのフィードバックを得るなど外部の視点を 組み込みながら、技術やビジネスモデルの仮説検証を早期に行う仕組みを導入
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事業会社の連携の当事者となる部門が既存顧客に近い部門の場合、既存製品の品質基準 やブランドイメージとの衝突を回避することが必要
先行企業は、一定程度独立した別会社を設立することで上記の衝突を回避
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事業会社が研究開発型ベンチャー企業との事業シナジーを発揮させるためには、迅速な投資意思決定や社内文化の橋渡し、仮説構築の支援を実現するための仕掛けが必要
先行企業は、CVC等の社外連携の専門組織を連携先部門に併設し、トップを兼任として配置
- (研究開発型ベンチャー企業が連携先を検討する際には、連携を円滑に進める観点で上記のような取組みを行っている事業会社を選択することは一つの方法)
信頼関係を構築しながらスピーディーな仮説検証と投資意思決定を実現するための仕組み
代表的な社外連携専門組織の類型
社外連携の専門組織には機能に応じた多様な形態がある広義のCVCは、投資機能だけでなく、
自社とのシナジー創出に繋がる技術の探索や共同研究開発等の技術連携を進める機能を具備するのが通例
ストラテジックリターンを獲得するための新たな取組みとしてのCVC
機動的な投資意思決定を確保しつつ、資本連携によるストラテジックリターンとファイナンシャルリターンを
追求するための新たな手法として、事業会社によるCVCの設立が活発化している
日系事業会社E社によるCVC設計のポイント
先行企業の取組事例
- E社は、ストラテジックリターンを追求するために、自社事業や社内事情を理解した人材のみでCVCメンバーを構成し、CVCと新規事業部門のトップを兼任させることで、ベンチャー企業との橋渡し役として機能
1990年代から展開してきたベンチャー投資の経験から得た組織、制度、人材要件に関する学びを基にCVCを設計
- 戦略
- 取引内容
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- 資本連携を通じた自社の戦略的パートナーとなり得るベンチャーとの連携実現をCVCの主目的として設定
- ポイント
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- 目的に基づき、出資先との連携による新規プロジェクト件数や新規事業売上をKPIとして設定
- 組織(既存組織との関係)
- 取引内容
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- 本社から独立した100%子会社として設置
- 事業開発部門に併設し、同部門のトップがCVCのトップを兼任
- ポイント
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- ベンチャー投資に関するナレッジの蓄積、継続性担保、プレゼンス発揮を実現
- 事業部門に併設することで、ベンチャーとの連携による事業の仮説構築をサポート
- トップ兼任により、新規事業移管の社内調整の壁を克服
- 制度(投資意思決定手続き)
- 取引内容
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- 本社のCMO、CTO等の役員クラスをメンバーとする投資委員会を設置
- ポイント
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- 意思決定の重さを確保しつつ、明確な投資の観点を設定することで1~2か月での投資意思決定を実現
- 人材要件
- 取引内容
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- 本社の人材(技術・営業出身者等)がCVCに出向(外部のキャピタリスト等は活用せず)
- ポイント
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- 自社事業や社内事情を理解していることで、ベンチャーとの橋渡し役としてシナジーの創出に貢献
- ベンチャー投資経験が豊富な指南役から一定期間指導を受けることでスキル獲得が可能
- 文化・価値観
- 取引内容
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- CVCメンバーが実践を通じてベンチャーとの接し方・作法を習得
- ポイント
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- CVCメンバーが事業会社とベンチャー企業の文化・価値観のギャップを埋める役割を果たす