契約開始~次フェーズの意思決定のサマリ
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契約交渉を乗り切り、無事に連携プロジェクトを開始したものの、当初立案した仮説が検証 されないままに継続されてしまうことを回避することが重要
先行企業は、試作品段階で顧客/ユーザーのフィードバックを得るなど外部の視点を 組み込みながら、技術やビジネスモデルの仮説検証を早期に行う仕組みを導入
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事業会社の連携の当事者となる部門が既存顧客に近い部門の場合、既存製品の品質基準 やブランドイメージとの衝突を回避することが必要
先行企業は、一定程度独立した別会社を設立することで上記の衝突を回避
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事業会社が研究開発型ベンチャー企業との事業シナジーを発揮させるためには、迅速な 投資意思決定や社内文化の橋渡し、仮説構築の支援を実現するための仕掛けが必要
先行企業は、CVC等の社外連携の専門組織を連携先部門に併設し、トップを兼任 として配置 (研究開発型ベンチャー企業が連携先を検討する際には、連携を円滑に進める観点で上記 のような取組みを行っている事業会社を選択することは一つの方法)
外部の視点を取り入れた仮説検証の仕組み
リーンスタートアップによる仮説検証
- ありがちなアプローチ
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- 当初アイデアを計画へ
- 計画を効率的に遂行すべく、大規模な投資実行
- 当初立てた仮説を検証しないまま販売へ。 失敗すると全ての投資が無駄に...
- 仮説検証型アプローチ(リーンスタートアップ)
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当初のビジネスアイデアが間違っていることを前提に、外部の視点を取り入れた「仮説検証を繰り返す」ことで 結果的に、「成功への近道」を低リスク・小投下リソースに繋がる
- 最低限の機能を持った試作品(MVP:Minimum Viable Product)による仮説検証が主軸
- 小規模な投資により「実験と学習」を繰り返す
- ターゲットや計画は随時見直し
GEのFast Worksのフレームワーク(仮説検証サイクル)
先行企業の取組事例
- GEは、「Fast Works」としてリーンスタートアップの仕組みを製品開発に導入することで、スタートアップ流のメンタリティ・ 行動規範を着実に社内に浸透させ、仮説検証サイクルを通じて製品開発期間の大幅な短縮を実現
Fast Worksの特徴・成功事例
- 特徴
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- めまぐるしく変わるマーケットの変化のスピードに対応し て、ビジネスモデル構築、製品開発のスピードを速めていく ために、スタートアップのメンタリティ・行動規範を社員30万 人の大企業であるGEにも浸透させる目的で導入
- 顧客企業のニーズを理解し、MVPと呼ばれる試作品をもと に顧客の意見を聞き、顧客からのフィードバックを製品に 反映するプロセスを繰り返し、製品開発の期間を短縮
- 国内(日本GE)での成功事例
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AYUMI EYE
- センサーを利用して歩き方のバランスなど をデータ化し、モバイルデバイスと連動して 歩き方の状態を可視化
- 製品化決定から製品提供まで通常なら1年 以上要するプロセスを3か月に短縮
- 従来であれば1年以上かかっていた開発期間を数ヶ月での 上市を実現
- 3Dプリンターを活用して短期間で試作品を製作し、仕様を 固めずに顧客と相談しながら改良するプロセスを反復する ことで、開発期間を1/3に短縮
3M/日東電工の事業化加速プロセス
先行企業の取組事例
- 3Mは、製品開発にステージゲート方式を採用し、ゲートの審査にエンジニア以外の他部門の有識者を入れることで、 シーズ視点だけでなくビジネス視点を採用
- 日東電工は、研究者が早い段階で顧客と対話し、フィードバックを得ることで仮説を検証
3Mは各ゲートの審査に有識者が関与
日東電工は研究者が早い段階で顧客と対話し仮説を検証
クラウドファンディングの活用
先行企業の取組事例
- D社は、クラウドファンディングを活用して早期に顧客のフィードバックを得ることでビジネスモデルの仮説検証を実施
- ソニーは、社外との共創を強化するためのプラットフォームを立上げ、クラウドファンディングを運用